ドバイワールドCデーは日本調教馬が3勝。芝を舞台としたレースは毎年のように日本馬が活躍しているが、
イクイノックスの圧倒的なパフォーマンスは世界に強烈なインパクトを与えたに違いない。
UAEダービーは日本馬が1着から4着まで独占。
全日本2歳優駿覇者の
デルマソトガケが
ホープフルSを制した
ドゥラエレーデ以下を寄せ付けず、2歳ダート王の
プライドを見せつけた。父の
マインドユアビスケッツは17、18年のドバイ・
ゴールデンシャヒーンを連覇したが、初年度産駒からドバイの地で重賞ウィナーを送り出し、種牡馬として大きなPRになったことだろう。最後は
ウシュバテソーロが最後方から差し切り、日本馬悲願と言えるダートでのドバイ・ワールドC制覇を叶えた。
オルフェーヴル産駒は
マルシュロレーヌがダート王国の米国でブ
リーダーズC(ディスタフ)制覇を成し遂げるなど、悲願の勝利が続いている。昨年、交流重賞を4連勝した
ショウナンナデシコはデビューからダートを使われていたが、重賞3勝の
ジャスティンなど、芝からダートに矛先を替えて一気に出世する馬が目立つ。
ウシュバテソーロも昨年春まで芝で3勝を挙げていたが、ダート初戦となった
横浜Sの圧勝後、ラジオ日本賞3着を挟んで
ブラジルCから5連勝と、ダートで一気に開眼した。中央、地方、そして本場のダートで圧勝して秋は
凱旋門賞挑戦のプランを打ち立てており、さらなる飛躍を期待せずにはいられない。
オルフェーヴルは初年度産駒から
ラッキーライラックを送り出したとはいえ、一発屋のイメージがつきまとっていた。14年から16年まで毎年240頭以上交配していたが、17年は191頭、18年は136頭、そして19年は52頭まで種付頭数は減少。しかし世代を重ね、様々なカテゴリーで活躍する馬が出て、その評価を覆した。20年に165頭まで盛り返し、21年は157頭、22年は129頭と再び100頭を超える人気種牡馬へと復権した。
種牡馬の評価は、初年度の段階で決めつけてしまう人が少なくない。しかし種付料が変動する状況で、交配相手のパターンが変わった時に、それまでのイメージを根底から覆すケースはよくある。今なら、
ハービンジャー産駒からダートで走る馬が出てきても不思議ない。POG取材や、
地方競馬で2歳馬の能力検査が行われている状況の中、新種牡馬の動向が気になる時期だが、その評価を1世代で決めつける必要はない。
ウシュバテソーロと
デルマソトガケはセレクトセール出身馬で、日本最高峰の競走馬市場から世界を目指す流れは当然のようになってきた。今年の競走馬市場も、例年にも増して目が離せない。野球界はWBCで米国を破り、盛り上がった流れでプロ野球の開幕を迎える。競馬もワールドCデーの日本馬3勝が、春のG1戦線の盛り上がりにつながることを願うばかりだ。(競馬ライター)
スポーツ報知