門別競馬場では、オフシーズンの間に路盤改修と砂の入れ替えが行われ、園田や船橋と同じ
オーストラリア産の珪砂が外走路一面に敷き詰められた。ナイター照明に照らし出されて白く浮かび上がる様は、『雪国』の冒頭よろしく、「夜の底が白くなった」という表現がぴったりである。この砂のレースに与える傾向は、2日間の開催を終えたばかりの現状では断言し難い。私が厩舎関係者に取材した限りでは、「少し砂圧が薄く感じる」「昨年までよりも走りやすい」といった意見があった一方、「乾き始めると滑る感覚がある」という声も聞かれた。昨年までのタフな馬場とは、やはり違った見方をすべきだろう。しかし、まだ良馬場でレースが行われていない以上、もう少し時間をかけて考える必要がある。
舞台を新たに行われる初めての重賞、
エトワール賞は、今年の短距離戦線を占う重要な一戦だ。様相は、昨年のチャンピオンである
スティールペガサスの一強と言って過言ではない。昨年夏から4連勝で道営ス
プリントを制した実力は疑いようがなく、既にそこで下したメンバーとは勝負付けが済んだ感がある。調整過程も順調で、仕上げに抜かりは無いようだ。今回の内容によっては、6月1日の
北海道スプリントCでも好勝負が期待できるだろう。
新勢力にもスポッ
トライトを当てておきたい。なかでも特筆すべきは3歳馬
スペシャルエックスだ。2歳時には地元重賞勝ちに加え、
兵庫ジュニアグランプリで
JRA勢相手に2着と好走しており、この世代で全国トップクラスのス
プリンターである。
スティールペガサスとの斤量差4kgを活かした積極策に注目だ。
スペシャルエックス含め、
田中淳司厩舎からは5頭が参戦。
スペシャルエックス、
ベストマジックが前で淀みない流れを作り、後方に
スマートアルタイル、
スマートアヴァロンという直線勝負型が構えるという布陣だろう。実力的にも総崩れは考えづらい。他では、昨年の勝ち馬
フジノパンサーも忘れてはいけない存在である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)