遡ること2週間、2023年のホッカイドウ競馬は、今年デビューのルーキー阿岸潤一郎騎手による初騎乗初勝利で幕を開けた。阿岸騎手は続く第2レースも勝利し、瞬く間にホッカイドウ競馬ファンの心を掴んでみせた。同期である
宮内勇樹騎手も翌日には初勝利を飾っており、2人の活躍は今年の要注目
トピックスとなったわけである。だが、その話題を掻っ攫う勢いで
ロケットスタートを切ったのが中堅の
桑村真明騎手だ。第1回開催4日間を終えた時点で、重賞を含む14勝の固め打ち。ずば抜けた成績を残している。6勝で2位につけているのが最年長の
井上俊彦騎手であり、こちらもファンに取っては熱い展開だ。まだ結果を予想するには尚早だが、世代を超えた今年の騎手リーディング争いは面白くなりそうである。
さて、今週行われる
北斗盃は3歳三冠競走の一冠目。こちらは世代を同じくする馬たちの争いである。重賞2勝、
JBC2歳優駿2着という実績から、
ベルピット中心という見方が当然だ。叩き台のレースをきっちり勝っての臨戦とあって状態面に不安はなく、勢いに乗る桑村騎手が鞍上というのも心強い。懸念材料を挙げるとするならば、内回りコースが未経験という点だろう。得手不得手が出やすい舞台であり、足元を掬われる可能性もなくはない。
その点において逆転候補に浮上するのは小国厩舎の2頭、
ニシケンボブと
プルタオルネということになる。前者はこの舞台でオープン勝ちの実績があり、また、笠松・園田で小回りコースの走り方を覚えてきた。後者は門別内回りの経験こそないが、船橋マイルの
平和賞で見せた器用な立ち回りはここにつながるものだった。ベテラン井上騎手の技にも注目したい。
ペースを作るであろう
エアポートライナーも名前を挙げておく。遊び癖がネックの馬なのだが、道中急かされ続けることになる内回りなら、案外、真剣に走り切れるかもしれない。良化途上だった前走からの上積みも大きいはずで、ダークホースはこの馬だろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)