◆第28回
NHKマイルC・G1(5月7日、東京競馬場・芝1600メートル)
G1初制覇が頻発するレースとして知られる
NHKマイルC(7日、東京)。
クルゼイロドスルはG1・2勝
ファインニードルの初年度産駒。勝てば産駒G1初Vだ。
自身が管理したス
プリント王の息子で、3歳マイルのてっぺんを目指す。
クルゼイロドスルは18年の
高松宮記念と
スプリンターズSを制した
ファインニードルの初年度産駒。年明けの
ジュニアCを4馬身差で逃げ切り、非凡なスピードを披露した。
高松宮記念が開業8年目のG1初勝利だった高橋忠調教師は「お父さんを知っているからこそ、この馬でマイル路線に行こうと判断できた」と期待をかける。
デビューから4戦すべて1600メートルに起用。前走で2勝目を挙げた時点では除外になる可能性があったが、レースを使って精神的に追い詰めるのはよくないと考え、前哨戦は挟まなかった。岡山の放牧先から本番1か月半前に帰厩。段階を踏んで順調にメニューをこなす姿に、指揮官は手応えを深めている。「思った通りに成長してくれています。早めに戻して乗り込んで、中身がたくましくなってきました」。4月26日の1週前追い切りは重馬場の栗東・CWコースで79秒3―12秒0の好時計。いっぱいに追われ、古馬オープンの
ホールシバンと併入した。
陣営が何より心強く感じているのが、Mデムーロの連続騎乗だ。コンビで2戦2勝。その鞍上はニュージーランドTを
エエヤンで勝ったこともあり、トレーナーは動向を気にしていたと明かす。「『将来性も含めて、ずっと乗っていたいのはこっち』と言ってくれました」と、名手の選択に感謝した。
ファインニードルと
クルゼイロドスルは、馬主も生産者も同じ。チームの結束は固い。「(産駒の成績に)責任を感じる部分はあります。自分のところ以外の馬でも(同産駒なら)勝てば良かったと思うし、安心しますね」と高橋忠師。府中での大一番をものにして、父の名をさらに高める。(吉村 達)
【一発の可能性を秘める偉大な母系】
クルゼイロドスルの4代母フォールアスペンは、競走馬になった産駒13頭のうち4頭がG1タイトルをつかみ、重賞勝ち馬は9頭。12頭が勝ち上がるという抜群の成績を収めた。産駒の
ティンバーカントリーが活躍した94年には、北米の年度代表繁殖牝馬にも選出されている。
ティンバーカントリーは、
クルゼイロドスルの3代母ダンス
オブリーヴスの半弟で、日本でも種牡馬として活躍した。自身は2歳時にG1を連勝し、エクリプス賞最優秀2歳を受賞。95年には米クラシック2冠目の
プリークネスSも勝ち、3歳春にも飛躍した。代表産駒
アドマイヤドンは芝の01年
朝日杯FSからダートG1も6勝と、こちらも早くから活躍している。
ファインニードルを管理した高橋忠調教師は「いろいろ産駒を見てきたけどあまり似ている子供はいなかったから、母系が出ているんだと思います。母系のいいところを引き出すのも種牡馬として大事なことですからね」と指摘する。
クルゼイロドスルにも先述した母系の底力が出ており、大舞台での一発の可能性を秘めている。
スポーツ報知