人と同じように、馬にもキャラクターがありますよね。今週の
ヴィクトリアマイル(14日=東京芝1600メートル)は
ソダシなど個性派揃い。そんな中で、負けず劣らず異彩を放つのが
クリノプレミアムです。
伊藤伸調教師は「基本的におてんば娘」と同馬を表現します。おてんばエピソードは数知れず…。サマーセールの比較展示では、放馬して走り回ったんだとか。「みんな“この馬だけは買うのをやめよう”と言っていたくらい。主取になったんだけど、オーナーは気になっていたみたいで、その後購入されました」
暴れん坊で知られる
オルフェーヴルの子。入厩後も元気いっぱいで「馬房の壁を蹴るだけじゃなくて、よじ登るんだから。“なんでこんなところに蹄鉄の跡があるの!? ”って。下に敷いているゴムマットもかじって振り回しちゃうんだ。あれ、相当な重さだよ」と伊藤伸師もその活発ぶりには驚きを隠せません。
いまだに大変なところはあるものの、徐々に精神面が成長。それが表れているのが返し馬です。「デビュー戦は(田中)勝春が乗って“いや〜、伸ちゃん。返し馬止まんないわ。参ったわ”って。2歳の頃は返し馬できなかったんだ。それが、1勝クラスのあたりから最後入れは最後入れなんだけど、ラチ沿いを返し馬できるようになって、前走は初めて馬場の真ん中あたりで返し馬をやっていた。今回どうするかはこの馬を一番知っている(松岡)正海に任せるけど、少しずつ大人になっているのはそうだろうね」
普段は周囲も手を焼くやんちゃ娘ながら、レースではどんな競馬もできるところが武器。「そんなふうに面倒なところはあるけど、競馬に行くと一生懸命走ってくれるんだよね。逃げても、後ろからでも、折り合えば脚を使う。人気以上に走ってくれる馬なんだ」と伊藤伸師。
重賞初勝利だった
中山牝馬Sでは、単勝15番人気ながら快勝。近3走も重賞で上位争いを繰り広げています。ただ、陣営にとっては悔しい連敗。「ここ3走は似たような負け方。ちょっとしたところでスイッチが入っちゃうんだよね。前走も(横山)武史の馬がまくっていったときに前に壁がなくなってスイッチが入っちゃった。そこでためられれば、最後のもうひと押しにつながるんだと思う。ジョッキーも見てる方も歯がゆいよね」と振り返ります。逆に言えば、隠し持っているギアがあるということ。「GIで相手は強くなるけど、マイルが一番合っているし、正海も“マイルで育てた方がいい”と言って競馬を教えてきた。自分の力を出し切って、がんばってほしいね」
ソダシや
スターズオンアース、
ソングラインなど実績馬の中で伏兵的な存在ですが、おてんば娘が再び大穴をあける、なんてこともあるかもしれません。
(美浦のおてんば娘注目女子・三嶋まりえ)
東京スポーツ