社台
ファーム、千代田牧場、岡田スタッドの良血馬を手にする世代最後のチャンスとして、人気のあるトレーニングセール「千葉サラブレッドセール」が5月12日、
船橋競馬場で開催された。「千葉セリ」と称され、首都圏で開催される立地の良さと、
オメガパフュームを筆頭に重賞活躍馬が続々と輩出され、人気を博してきた。
コ
ロナ禍で、20年は公設市場としては中止(民間サラブレッド
オークションで上場馬を出展)したものの、21年と22年はオンライン
オークションでJBIS特設サイトを活用して行われた。21年取引馬には、セール史上最高価格となった4億7010万円で落札された
ドーブネ、22年
京都新聞杯を制した
アスクワイルドモアがいる。また、昨年はス
プリングSを優勝した
ベラジオオペラや、兵庫1冠目の
菊水賞を制した
ベラジオソノダラブが取り引きされている。
今年は58頭が上場され、55頭が落札。売却総額は13億870万円(金額はすべて税別)、売却率は94・8%だった。オンラインでの近2年は完売だったので、売却率では数字上、5・2%減となったが、
船橋競馬場で実施したケースに絞ると、19年との比較で1・5%増、売却率は歴代最高を記録した。売却総額も、
ドーブネ1頭で4億7010万円を記録したことを受け、歴代最高だったが、それに次ぐ13億円超えとなった。
4年ぶりに
船橋競馬場を利用した開催に向け、昨年から市場関係者は力を注いでいた。新型コ
ロナウイルスの分類が8日から5類に引き下げられたが、このように移行する流れを受け、今年は現地とオンラインを同時活用(
ハイブリッド方式)した。他の市場では、
ハイブリッドを利用してきたが、千葉セリに関しては初めて。ただ、58頭が上場されたが、公開調教は約1時間、セリは約3時間とスムーズに進行された。
最高価格は、
ダンサーデスティネイションの21(牡、父
ロードカナロア)の1億円で、林田祥来氏が落札した。社台
ファームの坂路で行われた、4月20日の追い切りで2ハロン21秒9の2番時計(1ハロンは11秒1)をマーク。母は伊1000ギニー優勝馬で、半妹のダンサークロスもリステッド勝ち馬という血統。半兄の
サトノペルセウスが道営2勝後に中央でも勝利を挙げ、2勝クラスで堅実に駆けている。国内のトレーニングセールで、1億円以上の価格で取り引きされた馬としては3頭目となる。
そして、2番目の高額馬は、最後の上場馬だった
サラーシスの21(牡、
父ハーツクライ)の9400万円で、(株)キー
ファーズが落札した。
ハーツクライの最終世代で、産駒を手にするラストチャンスだったこともあり、3000万円からスタートして激しい競り合いとなった。母は米G2・2勝など重賞5勝。
ドウデュースと誕生日が同じというのは、父も含めて、キー
ファーズにとっては是が非でもという「こだわり」だったのかも。また、社台
ファームの追い切りで一番時計となる2ハロン21秒6―11秒0をマークした
シーサイドロマンスの21(父
ドレフォン)は、5500万円で栗本博晴氏が落札。牝馬の最高価格で、全体でも3番目の高額となった。
コ
ロナ禍に、牧場での追い切りを動画でチェックできるようにした。現地でのセリ開催とはいえ、北海道から
船橋競馬場へ移動し、日数が間もない状況でセールを迎える状況を鑑み、社台
ファームは当日の公開調教では速い時計を出さないようにした。一方、千代田牧場は、牧場はもちろん、競馬場でもビシッと追い、即戦力となる調教を積んできた。千代田牧場の千葉セリ出身馬には、15年
フェアリーSを制した
ノットフォーマルや、14年
ホープフルS2着の
コメートなどがいる。
トレーニングセールは来週、札幌競馬場で開催される北海道市場がラストとなる。約120頭が上場予定で、5月22日11時から公開調教、同23日10時にセリが始まる。
スポーツ報知