牝馬限定の競走が充実している2歳戦と違い、3歳以上の牝馬による数少ない重賞であるこの
ヒダカソウカップは、例年、予想の組み立てが難しい。転入馬も多く、直接対決の少ないメンバーが集まるからという、単純な横の比較の難しさも然ることながら、そもそも施行回数の少ない内回りコースを舞台にしていることが、更に難解さに拍車をかけている。
ならば、内回りコースの特殊性を逆手に取って考えてみるというのもひとつの解法だ。つまり、過去に内回りコースで実績を残している馬や、あるいはこれと似たようなレース展開になりやすい小回りの競馬場で好走歴の豊富な馬に目を向けるということである。得手不得手が出やすいコースというのならば、得意であるのが分かっている馬を選べばいい。そこでまず浮上するのが、昨年の覇者
クーファアチャラである。まだ歴史の浅い重賞とはいえ、やはり過去にはリピーターも多く、一度好走した馬を重視して損はない。
先月の浦和
しらさぎ賞を勝って再転入してきた、実績最上位の
スティールルージュはどうだろうか。門別ではワンターンしか経験がないのだが、小回りの川崎や浦和で結果を残している点は、先程述べたように、この舞台の適性ありと判断する材料になる。
それでは人気2頭で決まりと思えるが、直近2年、3連単の配当が10万を軽く超えている事実を踏まえると、そう易易と結論を出すのは勿体ない。上記2頭は同じく徹底先行型であり、他にもポジションを前に取りたい馬は複数いる。人気馬を含めた先行タイプが総崩れになった2年前ほどまでとは言わないが、後半勝負型の穴馬を狙ってみるのも面白いだろう。
ミカチャンはレース後半の一瞬の切れ味が強みであり、少し古い戦績だが、2歳時だけで門別内回りコースを3勝している。隠れた内回り巧者として注目してみたい。
年齢による斤量利が魅力の3歳馬
サルトアンヘルや、昨年の3着に目を向ければ
クレモナにも浮上の可能性は見出せる。高配当の使者はきっと潜んでいるはずだ。
(文:競馬ブック・板垣祐介)