先週の冒頭で記した「最初の新馬戦を新種牡馬が勝つ」を見事に実現した、
ブリックスアンドモルタル産駒の
テラメリタ(栗東・
須貝尚介厩舎)。稍重の馬場状態だったこともあって、勝ち時計は1分36秒5だったが、ハナに立ってメンバー最速の上がりを使うあたりに今後のレースっぷりも楽しみになってくる。
さて、今週から函館開催がスタート。昨年は2日目に新馬勝ちした
クリダーム(栗東・
須貝尚介厩舎)が
函館2歳Sでも2着。やはり開幕週の新馬戦は楽しみ。
【6月10日(土) 阪神芝1600m】
◆
フェンダー(牡、父
モーリス、
母プリンセスロック、栗東・
斉藤崇史厩舎)
半姉に函館芝1200mでデビュー勝ちし、その後の
函館2歳Sも勝って重賞を制した
ブトンドール(父ビッグアーザー)がいる。本馬は2021年セレクトセール当歳にて、2200万円(税抜)で落札されている。
3月18日に入厩して、24日にはゲート試験合格と3月中にデビューまでの支度を整えるようなスケジュール。その後はノーザン
ファームしがらきで調整し、5月16日に栗東へ再入厩。1週前追い切りはCWでの3頭併せだったが、真ん中の3歳馬が脱落する中、先行していた
アルサトワに食い下がっていく動きはこの時期の2歳としてはかなりレベルの高い走り。3F36.7秒という数字も優秀だろう。なお、鞍上は
川田将雅騎手が予定されている。
【6月10日(土) 函館芝1000m】
◆
レガテアドール(牡、父
サトノクラウン、
母レグルドール、栗東・
吉田直弘厩舎)
今年のダービーを勝った
タスティエーラ(栗東・
堀宣行厩舎)と同じ
サトノクラウン産駒。おじに芝で5勝を挙げた
コスモドーム(
父アドマイヤマックス)がいる血統。
本馬は栗東でゲート試験を合格し、その後も在厩調整。5月16日にはCWで6F82.2秒と速い時計をマークし、5月30日の坂路は3歳未勝利が先行しているところを追いかけるような形で進めていき、2F24.8秒、1F12.1秒で先着してのゴール。少し重たい馬場状態だったが、それでも手応えには余裕があり、能力の高さを感じさせる動きだった。
なお、デビュー戦については6月11日の函館芝1200mとの両睨みとなっている。
【6月11日(日) 東京芝1800m】
◆
サンライズジパング(牡、父
キズナ、
母サイマー、栗東・
音無秀孝厩舎)
半兄にアイビーSで
ドウデュースの2着になった
グランシエロ(
父ハーツクライ)がいる。本馬は2022年セレクトセール1歳にて、6400万円(税抜)で落札されている。
4月7日のゲート試験に合格した後も軽く坂路で時計を出し、その後放牧。5月に栗東へ戻ってきたが、5月25日に坂路4F52.9秒をマークしたかと思うと、5月31日には坂路4F51.1秒。2F24.2秒と素晴らしい脚力を見せている。
音無秀孝調教師は「クラシック路線へ、と期待している馬ではあるけど、気性が前向きなだけにレースで落ち着きがあればいいんですけどね」とコメント。美浦所属馬でもクラシック候補と呼ばれる馬たちが揃いそうな一戦だけに、そこでどんなパフォーマンスを見せるか楽しみ。なお、鞍上は
戸崎圭太騎手が予定されている。
【6月11日(日) 函館芝1200m】
◆
ロータスワンド(牝、父
ロードカナロア、
母ルシュクル、栗東・
中竹和也厩舎)
半姉
ブランボヌール(
父ディープインパクト)は新馬、
函館2歳Sを連勝。半兄
ビアンフェ(父
キズナ)は未勝利、
函館2歳Sを連勝。いずれも
中竹和也厩舎の所属馬で、本馬の函館デビューは当然というか、必然なのだろう。
父は
ロードカナロアに替わったが「前向きな性格はこのきょうだいらしい」と
中竹和也調教師。栗東の坂路ではあまり速い時計を出していないが、5月31日に函館Wで併せ馬を消化する追い切り。この時期の2歳だけに、函館への輸送も無事クリアして、順調に進めることができていることが重要。とはいえ、最終追い切りではどのような動きを見せてくれるか楽しみである。
(取材・文:井内利彰)