道営記念へと続く古馬中長距離の重賞戦線は、5月初旬の
コスモバルク記念で幕を開けた。結果は
シルトプレの圧勝であり、新世代のエースとして、堂々名乗りを上げた。今回も出走していれば問答無用の本命馬となったはずだが、その名を全国に知らしめるべく、異なる目標レースへ向けて調整を続けており、日程を考慮して
赤レンガ記念はパスすることとなった。当然のことながら、戦況は俄に混戦模様を呈し始めたわけである。
状況に照らして考えれば、
コスモバルク記念で2着だった
ドテライヤツにとって、強敵が抜けたことで好機が到来したことになる。昨シーズン後半から頭角を表した遅咲きの馬で、追い込み脚質ながら、今シーズンも抜群の安定感を誇っている。ここへ向けた叩き台を挟んだ臨戦過程も好感で、2000mへの距離延長も歓迎のタイプだ。
そこに待ったをかけるのが、冬場の南関東遠征から帰ってきた
サンビュートである。言わずとしれた昨年の
道営記念馬で、ジョッキーとしての引退レースだった
五十嵐冬樹現調教師と魅せた、執念の走りは記憶に新しい。南関東では思うような結果を残せなかったようだが、
道営記念と同じ舞台のここは、他馬に譲るわけにいかないだろう。
実績も鑑み、上記2頭は重く評価するべき馬である。ただ個人的には、連勝で波に乗る
ハセノパイロにも面白みを感じている。好走と凡走を繰り返していた昨シーズンのことを考えると、この連勝からは、よほどの状態の良さが窺い知れる。
東京ダービー制覇は遠い過去のものになりつつあるが、久々の重賞Vとなれば、真の復活劇と言えるだろう。その下地は既に整っている。
もちろん、他にも複数の馬が争覇圏内である。
エンリルにとって2000mは本質的に少し長い印象だが、ペース次第では対応が可能だろう。南関東から転入2戦目の上積みが見込める
スコルピウス、吉原騎手鞍上での門別勝利経験がある
ゼンノジャスタも、一発を秘める存在である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)