高野厩舎で取材をしていた時のこと。スタッフから「まあ、飲んでいきや」と見覚えのある“茶色の瓶”を手渡された。大好きな函館開催中だというのに、7月に入ってもまだ栗東にいる当方を気遣ってのものだろうが、ここ最近の中では一番うれしかったプレゼントかもしれない。
内地の方はあまりご存じないかもしれないが、その茶色の瓶の中身とは北海道のソ
ウルドリンクで、当方も出張した際にはよく飲むし、お土産として買うこともある「ガラナ」。端的に説明するならコーラと似た見た目ながら、少し酸味がある感じと言うべきか。とにかく懐かしさを感じる味に久しぶりに出会えて、しばし北海道気分に浸れたわけだが…。何で今ここにガラナがあるんやろ?
「重賞やから帰ってきたんですよ」
声の主は高橋助手。涼しくて過ごしやすい函館をわずか3週で引き揚げ、GIIIプロキオンS(9日=中京ダート1400メートル)に出走する
エルバリオのために栗東に戻ってきたというのは、よほどの自信の表れなのか!?
3歳の昨年は1勝クラスですら勝ち切れなかった馬が、4歳になった今年は3→1→1→4→1着の快進撃で一気にオープン馬にまで出世してしまった。
「もともと2歳の時から稽古では動いていたし、未勝利戦を勝ち上がった時がプラス20キロだったように段階的に馬は良くなっていたんです。以前よりもカイバを食べるようになったことで、コンスタントに競馬に使えるようになりました。そんな中で一戦ごとに鍛えられた感じで、馬が力をつけてくれましたね」
前走の馬体重はデビュー時から実に30キロ増。馬体に厚みを加え続けながら、経験を積み重ねたことで、ようやく素質が花開いたのがまさに今なのだろう。
「3歳春に東京の1600メートルを使った時(1勝クラス7着)、騎乗した(横山)和生が“1400メートルくらいのほうが集中して走れるんじゃないですか”と言っていた。その後、小回りの1700メートルでも勝ってくれましたけど、1400メートルで2勝ですからね。前走(
麦秋S1着)を見ても、やはりこの距離がベストなんだと思います。重賞も今の勢いで突破してほしいですね」
ここでいい競馬ができれば、GIII
エルムS(8月6日=札幌ダート1700メートル)も視野に入ってこようか。そうなればまた高橋助手は北海道へ。栗東に帰ってくる時にまたお土産にガラナを買ってきてもらうためにも? まずはプロキオンSの
エルバリオを全力応援だ。
(栗東のガラナ野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ