新潟名物の直線重賞「第23回アイビスサマーダッシュ」は1年ぶりの実戦となった9番人気
オールアットワンスが
石川裕紀人(27)と息の合った走りで復活V。21年に続く当レース2勝目を挙げた。
中363日。千直女王にブランクは関係なかった。1年ぶりの実戦で18キロ増量。さらにス
プリント適性を研ぎ澄ませた馬体を弾ませた
オールアットワンス。馬上の石川が「よっしゃー!!」と拳を握る。新潟の検量室にこだました歓喜の絶叫は中734日。丸2年ぶりの勝利で02&04年
カルストンライトオ以来、史上2頭目の隔年Vを成し遂げた。
試練の内枠。01年のレース創設以来、フルゲート18頭の際は8番より内が未勝利だったが、千直女王には枠さえ関係なかった。2枠3番は6着に敗れた昨年と全く同じ。スタート直後の200メートルで折り合いをつけると、次の200メートルで一気に外へ切り込んだ。石川は「今年は外に行こう…と。この馬のことは自分が一番分かっているつもり。自信を持って乗った」と振り返る。瞬間移動を経て、レースの中間点では外ラチ沿いに。ラスト200メートル、目の前にいた
トキメキが先に抜け出すが手応えが違う。「前半脚をためた分、どこでも行けそうなぐらい余力があった。彼女の切れ味を生かせた」。今度は内に切り替えて一瞬でかわすと、1馬身1/4差で突き放した。
石川にとっては、騎乗予定のホーが前日の落馬負傷で回ってきた手綱。「何度かチャンスを頂いたのに、うまく乗れず悔しい思いをしてきた。それだけに2年前とはまた違ったうれしさがある」。完璧エスコートの27歳は白い歯を輝かせる。中舘師も「今年は進路がなくて脚を余してもいいから外に行こうと作戦を練った。競馬ってだいたいうまくいかないけど、たまにうまくいくとうれしいよね」と笑顔がはじけた。
右前の靱帯(じんたい)をケアしながら調整を進め、1年かけてたどり着いた復活劇。指揮官は「脚元がクリアな馬ではないので、ひとまず放牧へ」と見通しを語った。母の父は4年前の7月30日に急死した
ディープインパクト。命日に天から後押しもあったか。5歳牝馬だがキャリアはまだわずか11戦。千直女王は大切に育まれ、もっと速くなった。
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オールアットワンス 父
マクフィ 母シュプリームギフト(母の
父ディープインパクト)18年4月24日生まれ 牝5歳 美浦・中舘厩舎所属 馬主・吉田勝己氏 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績11戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金1億2008万6000円 馬名の由来は曲名。
スポニチ