2018年以降、この
旭岳賞は
道営記念と同じ外回り2000mで行われてきたが、今年は内回り1600mへと変更された。これにより、
道営記念の
ステップレースとしての意味合いは、少なからず薄れることになった。
14頭のメンバーは、短距離を主戦場とする馬と中距離を主戦場とする馬とがおよそ半々で混在している。このことからも、王道路線とは独立した重賞であることが分かるわけだが、同時に、力の比較が難しいことも物語っている。外回りとは違う特殊な適性が求められるだけに、やはりこの舞台で実績のある馬を狙うのがベターだろう。
そこで真っ先に浮上するのが
グリントビートだ。昨年、同じ舞台で行われた星雲賞を勝利した馬であり、この舞台は2戦2勝。明らかな内回りマイル巧者である。シーズン開幕当初からここを睨んだローテーションを組んでおり、陣営の意欲も買い材料だ。懸念材料があるとすれば、件の星雲賞は8頭立ての少頭数だったこと。多頭数の内回りは展開がかなりごちゃつきやすいため、うまく馬群を捌けるかどうかが鍵を握る。
同様の視点から、
イダペガサスも狙いが立つ。最近ではすっかりス
プリンターのイメージだが、過去の戦績を遡ると、中央在籍時はマイル戦で最も実績を上げており、実際、3年前の門別転入緒戦で内回りマイルを好時計で大差勝ちしている。この条件を使うのはそれ以来なのだが、適性ありと判断するに十分な裏付けだ。
グリントビートが勝った星雲賞で0.1秒差の2着だった
マイネルシスネロスもこの舞台なら有力だが、上述のように今回は多頭数で、しかも先行タイプがずらりと揃って激流待ったなしである。同タイプのこの馬は、レース運びに工夫が必要だ。「椅子取りゲーム」ならぬ「位置取りゲーム」が常の内回り戦だが、予想される展開を踏まえると、案外、位置を取れない差し・追い込み勢が漁夫の利を得る可能性もある。
ビービーガウディ、
スコルピウス、
クラキングスあたりの強襲にも警戒しておきたい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)