ホッカイドウ競馬の2歳馬は、デビューの早さとレベルの高さで知られている。ただ、他流試合が盛んになる秋口まで、世代全体のレベルがどれほどかの判断が難しい。そんな中、
JRA北海道シリーズの2歳特別指定交流競走は、それを知る格好の手掛かりになる。先日の
クローバー賞で
カイコウが2着に好走したことは、今世代が例年通りに高水準であることの、ひとつの証左だろう。
このフルールカップは、2歳戦でもひときわハイレベルな、牝馬の短距離重賞である。中心は、デビューから2戦2勝で重賞
リリーカップを制した
シシャモフレンドだ。その
リリーカップでは、1000m戦ながら2着馬に0.8秒もの差をつける逃げ切り勝ちを収め、非凡な速力を見せつけた。1100mのデビュー戦を見る限り、初の1200mも心配ないだろう。かなりマークは厳しくなるだろうが、それを跳ね除けて勝利すれば、
エーデルワイス賞制覇が現実味を帯びてくる。
他のメンバーは一長一短の大混戦。1200mの持ち時計は皆、1分15秒台だから、如何に展開を味方につけられるかが浮沈の鍵である。
シシャモへのマークが厳しくなればなるほど、流れは速くなり、消耗戦に近づいていくに違いない。そこで、筆者は
アメリアハートの差し脚に注目した。ス
プリンター的な瞬発力ではメンバー上位である。内枠を利して、好位-中団のインでじっくりタメて運べれば、大金星も可能ではなかろうか。
「2歳牝馬重賞と言えば」の角川厩舎も黙ってはいない。
タントゥームの前走は、スタートで落馬寸前の躓く不利があり、まったくの参考外。
シシャモと互角に渡り合えるスピードは既に示しており、ここは汚名返上の場である。同厩舎の
ジュデシャンスは、
リリーカップでは砂を被って戦意喪失してしまった。前走できっちりと巻き返しており、今回は
シシャモへのリベンジマッチだ。他では、初勝利の前走が重賞級の内容だった
ヨシノヒローインも魅力的な一頭だろう。秋の大一番へ向けて、見逃せない一戦である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)