いよいよローカル開催も最終週を迎える。それにしても“暑さ”が記憶に残る夏開催だった(もちろん体にも)。各地で毎日のように猛暑日を記録。小倉開催2週間休止といった暑熱対策もほとんど効果を感じさせないほど、新潟はおろか、北海道まで酷暑が襲った。
特に坂路が閉鎖中の美浦トレセンでは暑さとのWパンチで各陣営とも非常に調整に苦慮。
新潟記念(9月3日=新潟芝外2000メートル)に出走する
サリエラのように新潟競馬場に滞在する馬も少なくなかったのは「(新潟の)馬房にはエアコンがあるからね」(国枝調教師)。クーラーの存在(トレセンには基本的に設置されていない)も滞在理由のひとつとなったようだ。
そんな酷暑の新潟開催のリーディングを独走するのが
木村哲也厩舎。先週終了時点で7勝を挙げ、2位(3勝)に
ダブルスコア以上の差をつけている。「あの週だけですよ(笑い)。ルメールのおかげ」と8月12、13日の5勝(うち4勝がルメール騎乗)固め打ちを理由に挙げて笑うが、延べ13頭の出走で勝率50%超えなのだから、もちろん“たまたま”であるわけがない。
その精度の高さについては「決して簡単に、順調にいくことではないですよ」としつつも「夏でもコンスタントに調教をこなす。あとはこの時期に使い込まずに済むようにすること」。
確かに暑い中でも、追い日には木村厩舎のスタンダードである「3頭併せ」でしっかり負荷をかけている。当然、それができるだけの日々のケアがあり、攻め続けられる態勢づくりこそがまさに厩舎の手腕なのだろう。
また「この時期に使い込まない」という点も、目先の勝ち星だけを求めず、決して無理をさせない“我慢”が今はもちろん、これからの秋競馬にも生きてくることだろう。実際、夏の新潟で2走した馬は木村厩舎には1頭もいないのだから…。
そんな木村厩舎が
新潟記念に送り込む
ノッキングポイントも「入厩して10日くらいは食欲を含めてパッとしない感じだったけど、先週あたりからだいぶ安定してきた」という。
体調を慎重に、そして的確に見極めつつペースアップ。「ダービー(5着)で頑張ってくれた疲れを引きずっているような感じはない。暑さの中であまり無理はできないけど、重賞を使うにあたって恥ずかしくない状態」と酷暑の中の仕上げとしては及第点を与えられる状態にもってこれたようだ。同時に「調教に向かう時からノシノシ歩けているし、精神的にも馬体的にも成長している」と確かな進化もまた感じ取っている。
言わずと知れた
イクイノックスを軸に、古馬、3歳、2歳と各世代に秋の大舞台をにぎわせそうな好素材が揃う木村厩舎。この
ノッキングポイントも夏の締めくくりの
新潟記念でしっかり結果を出してくるのではなかろうか。
(美浦の両刀野郎・山口心平)
東京スポーツ