3日に
水沢競馬場で行われた
不来方賞をもって、各
地方競馬の三冠競走が終了。今年は北海道、南関東、高知の3地区で三冠馬が同年に誕生するという過去に例を見ない年になった。本稿では、歴史に名を刻んだ3頭の蹄跡を振り返ってみたい。
■ホッカイドウ競馬
・
ベルピット(牡3、北海道・
角川秀樹厩舎)
・2年ぶり史上7頭目
・3競走とも単勝1.1倍の圧倒的支持に応える
昨年5月のデビューから4連勝を飾り、僚馬
オーマイグッネスなどと共にホッカイドウ競馬の2歳戦線をけん引。
JBC2歳優駿で2着に入るなど全国区レベルの実力を誇示したが、シーズン終了後も他地区に移籍せず、ホッカイドウ競馬に留まり道営三冠を目指した。
今年4月の復帰戦を8馬身差で圧勝。勢いそのままに一冠目の
北斗盃を7馬身差、続く
北海優駿は3馬身差を付けて制し、最終戦の
王冠賞に挑んだ。レースでは前2戦でともに2着の
ニシケンボブから徹底したマークを受けたが、4コーナー過ぎで同馬を振り切ってからは独走。最後は5馬身差を付ける完勝だった。3戦ともに単勝1.1倍というプレッシャーを跳ねのけ、名を刻んだ。
■南関東競馬
・
ミックファイア(牡3、大井・
渡辺和雄厩舎)
・22年ぶり史上8頭目
・無敗制覇は史上2頭目
2歳時にデビュー3連勝を果たすも、一冠目の
羽田盃は5カ月の休み明けに加えて重賞初挑戦とあって4番人気に甘んじた。だが、終わってみればレースレコードかつ6馬身差の圧勝。一夜にして勢力図を塗り替え、三冠候補に躍り出る。
続く
東京ダービーも再び6馬身差で勝利。ファンや関係者の期待を一手に引き受けたJDDでは1番人気に支持されたが、その分マークも厳しく普段より後方からの追走となる。逃げた
ミトノオーが直線で大きく引き離し万事休すかに思われたが、残り200m過ぎから一気に差を詰めて差し切り勝ち。ゴール後には「御神本コール」が沸き起こるなど、感動的な一戦となった。
■高知競馬
・
ユメノホノオ(牡3、高知・
田中守厩舎)
・14年ぶり史上4頭目
・大出遅れを跳ね除け快勝
新馬戦と5戦目の黒潮
ジュニアチャンピオンシップでは4着に敗れたが、その2戦以外は全て1着。ゲートが苦手で毎回大きく出遅れながらも、圧倒的な脚力で勝利を積み重ねた。一冠目の
黒潮皐月賞は
デステージョにアタマ差の辛勝だったが、距離が延びた
高知優駿では2.1秒差の大差圧勝。南関東の重賞2勝馬
ポリゴンウェイヴらをまったく相手にしなかった。
三冠目の
黒潮菊花賞ではスタートでこれまで以上に後手を踏み、中継映像に映らないほどの大出遅れをしてしまう。それでも向正面付近から一気にマクって先頭に立つと、直線は
デステージョの追撃を振り切り快勝。3戦ともに高知では“ものが違う”と云わんばかりの走りだった。
以上3頭のほかにも、
ミニアチュール、
ショウガタップリ、
セブンカラーズなど次々に活躍馬が生まれている今年の
地方競馬。秋競馬に入り古馬との対決も本格化していくが、最強世代とも云われる現3歳馬の今後から目が離せない。