「王政復古の大号令」とでも言うべきか。
キングズレインがクラシック最後の1冠に向けてGII
セントライト記念(18日=中山芝外2200メートル)で再始動する。
行った行った決着になる中、後方から最速上がりを繰り出して3着まで押し上げた昨年暮れの
ホープフルSを深く記憶に刻んだ方は多かろう。クラシックで頂点を目指せる逸材。そんな思いを抱かせるに十分なハイパフォーマンスを見せてくれたのだが…。
今春はちょっとしたアク
シデントで歯車が狂ってしまった。熱発で始動予定の
弥生賞ディープインパクト記念を自重。スライド出走で臨んだ
毎日杯で12着惨敗を喫したことで、春の大舞台に立つことなく、再調整を余儀なくされることに。一方でクラシック第1冠・
皐月賞のタイトルを見事に手にしたのは僚馬
ソールオリエンスだった。
「
毎日杯は体調が整わなかった」と振り返る手塚調教師は「
ホープフルSくらいのデキにはある。好勝負が期待できるね」とほほ笑みながら、
キングズレインの“今”を伝える。もともと
ソールオリエンスに勝るとも劣らない素材と評価していた馬。復活の手応えを感じ取っているとなれば、期待が高まるのも当然だろう。
「体形、走りから阪神は向かないけど、京都は合うんじゃないかな。それに距離が延びていいタイプ。だからこそ
菊花賞でその走りを見てみたいんだよね」
2018年の
菊花賞を制した
フィエールマンほか、数々の名馬を育てた百戦錬磨のトレーナーはこの先の大舞台を見据えた上で、出走を確定すべく
トライアルでの全力投球を誓う。
1週前追い切りは南ウッド3頭併せの真ん中。内の
ソールオリエンスと直線でファイトする形になり、半馬身の後れを取ったものの、これは想定内。実戦ではかかるどころか、むしろ進まない傾向にある馬だけに、闘志に火を付けることが何より優先される。時計的には6ハロン81.7-11.5秒が出ているのだから、何ら問題はあるまい。
そしてこの手のタイプの馬を巧みに操るルメールを引き続き鞍上に確保できたのは何よりの朗報だ。古馬との初対戦となった前走の町田特別は少頭数の8頭立て、前半5ハロン通過は64秒9の超スローに。上がり5ハロンはすべて11秒台のラップが並ぶ中で、舌を出して100%の力を出し切っていない状況でも何とか勝利に導いたのがルメール。その競馬ぶりを踏まえた今回はおそらく中山外回りを好位から早めに動いて加速させる騎乗イメージが出来上がっていることだろう。
名門厩舎が放つ“第2の矢”が満を持してクラシック最終章の主役へ躍り出るのはもう間もなくだ。
(美浦のビッグ野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ