道営記念まであと約一ヶ月。出走が想定されるメンバーは、
エルムSで5着に入るなど成長顕著な
シルトプレ、3歳三冠を達成した
ベルピット、南関東から転入後連勝中の古豪
アナザートゥルースなど、実に多彩である。今週行われる
瑞穂賞は、そこに向けた最後の
ステップ重賞だ。先の3頭はここには出走しないものの、虎視眈々と王座を狙う実績馬たちが顔を揃えており、大一番を占う上で見逃せないレースとなっている。
なかでも注目度が高いのは、
サンビュートと
ハセノパイロだろう。前者は言わずと知れた昨年のチャンピオンで、今年も実力は健在だ。後者は3連勝で6月の
赤レンガ記念を優勝し、
東京ダービー馬の完全復活を知らしめた。実績や今季の成績を総合して考えると、やはりこの2頭には相応の評価が必要だ。ただ、両者とも、今回の1800mより本番の2000mの方が合うタイプであり、夏場を休みに充てたローテーションも含め、あくまでも前哨戦の位置づけである。そういった観点で、あえて他の馬から狙うのもアリだろう。
例えば、前走マイルの
旭岳賞を勝利した
イダペガサス。短距離路線を長く歩んできた馬であり、昨年は1200mで重賞も勝っているのだが、今年はエンジンの掛かりが遅いケースが多く見られた。それを踏まえた距離延長がうまくマッチしたのが前走で、適性が変化してきたと考えれば、1800mで前走同様のパフォーマンスができて不思議はない。
今季は4月の1勝のみに留まっている
エンリルも、今回は展開面から狙いが立つ。
赤レンガ記念は2000mが堪えた印象で、前走はスタートの落馬で参考外。ここは人気馬の多くが差し馬タイプであり、
ノーマークで逃げられるアドバンテージは大きいはずである。
昨年の覇者である
ドテライヤツや、自在性を武器に相手なりに走る
スコルピウスなども、押さえておきたい実力馬だ。
道営記念を見据える馬を尊重しつつ、馬券作戦的には、前哨戦でこそ狙える馬を探すレースである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)