中央デビューに対して、北海道デビューの印象は? 一昨年の
皐月賞馬
エフフォーリアなどの成功例はあるものの、まだまだ“亜流感”は否めないだろう。ゆえに秋シーズンの2歳重賞戦線でも評価は低く見られがちなのでは。
GIII
アルテミスS(28日=東京芝1600メートル)に出走する
ラヴスコールも札幌芝1500メートルで新馬戦を制しての参戦。コースも距離も違う状況での重賞初挑戦となるが、人気になりきらないなら馬券妙味たっぷりの存在だと記者は考えている。
そのデビュー戦は
ラーンザロープスをゴール前でクビ差捕らえる辛勝だったものの、「ラスト2ハロンのレースラップは11秒6-11秒3。伸びている(2着)馬をさらに伸びて差し切ったわけだから相当強い」とは加藤征調教師。追走で頭を上げるシーンも見られたが、「口(ハミ受け)が敏感でハミに過剰反応していた。決してかかっていたわけではなかったし、中間の調整でだいぶ改善されつつある」と課題も克服しつつある状況だと説明してくれたうえで、期待の程を語ってくれた。
「とにかく基礎体力が優れていて、(美浦に初入厩した5月の坂路)初時計の際に15-15の指示が14-14を馬なりでかかりながら上がってきた。当時は馬場が重くて
ソウテン(古馬3勝クラス)でさえ(4ハロン)54秒を切るのがやっとだったからね。入厩した時から乗り手の誰もが“小柄でも体幹が強い”と言っていたし、初戦を終えた(横山)武史も“もう1レースできる”って(笑い)」
振り返れば、鞍上・横山武はデビューに向けての1週前追い切りで初コンタクトを取った際に「メチャメチャ走ります。重賞級ですね」と断言していたことを思い出す。では初重賞を前にした1週前追い後の感触は?
「切れる脚を使うタイプではないので、動き自体はそう目立たないかもしれませんが、体力が一番の武器。追った後もケロッとしていましたし、1週前としては十分な稽古内容でしたね。新馬戦の時からの大きな変化はないけど、雰囲気は引き続きいいですよ。
パワーがある半面、敏感で抑えるのが難しい。そのあたりが今後の長いテーマになるとは思いますが、能力は間違いないので」
鞍上の評価に揺らぎはないとなれば…。クラシックへの登竜門として近年、その価値を高めている
アルテミスSで、この北海道デビューの素質馬の可能性をじっくり見極めたいと思っている。
(立川敬太)
東京スポーツ