あれほど暑かった夏が嘘だったかのように、北海道日高では車のフロントガラスが凍りつく朝が増えてきた。今年のホッカイドウ競馬も、気づけばもうシーズンオフが間近である。
開催ラストウィークである今週は、古馬各路線の頂点を決める2つの重賞が行われる。火曜日のメイン・道営ス
プリントは、その名の通り、今年の短距離王決定戦である。
予想におけるポイントは、前哨戦である
ウポポイオータムス
プリントの結果をどう評価するかだ。当時は、今年の白砂にしては珍しく不良馬場にまで馬場が悪化し、比較的タイムも出やすい一日だったのだが、このレースの決着タイムは1分13秒7と、同日に行われたA級B級の混合戦よりも遅かった。
そんな中、昨年の短距離王であり、今年の
北海道スプリントカップでも
JRA勢相手に3着に好走していた1番人気の
スティールペガサスが、伸びを欠いてよもやの5着に終わってしまったのだった。
決着タイムと各馬の結果を照らして、そのレースレベル自体を疑うのは必然だ。問題は、
スティールペガサスが立ち直るかどうかである。主たる敗因は、陣営も気にかけていた、酷暑の中での遠征となった
クラスターCの反動ということで納得がいく。
その後の調整過程で、状態は好調時のものに近づいたとのことだから、走りも変わると見るのが無難だろう。ただ、肉体面は戻ったとして、前走の敗戦が精神面に影を落としているとしたら、100%のフルパフォーマンスが叶うとは限らない。そう考えると、他の多くの伏兵馬たちにも戴冠の可能性が見出せる。
筆者は、久々の重賞挑戦となるリーチに最も可能性を感じた。昨年の門別再転入以降、ずっと裏街道を歩んできた形だが、そのなかで重賞好走馬と幾度も互角の戦いをしているのだから、ここで力負けはしない。自在に運べる脚質も、魅力のひとつである。
切れ味で右に出るものはいない
ジャスパーシャインや、4頭出しで徹底抗戦を仕掛ける
田中淳司厩舎の各馬にも、それぞれチャンスがあるだろう。
スティールペガサスが王座防衛を果たすのか、それとも――。
(文:競馬ブック・板垣祐介)