◆第40回
マイルCS・G1(11月19日、京都競馬場・芝1600メートル)
第40回
マイルCS・G1(19日、京都)で3歳馬
エルトンバローズが新マイル王襲名を狙う。今年4月の未勝利勝ちから4連勝の快進撃。リーディングトップの
杉山晴紀調教師(41)=栗東=が見込んだ以上の成長力で、2年連続史上7頭目の3歳馬Vを成し遂げる。
この舞台だけを真っすぐに見つめてきた。3歳馬の
エルトンバローズと挑むマイル王決定戦。杉山晴調教師は力強く言い切った。「秋に
マイルCSへ出すために、ということはずっと考えていました」。今年はすでにキャリアハイの48勝に到達し、全国リーディングのトップを走る若きトレーナーに迷いはなかった。
強い思いが芽生えたのは半年前にさかのぼる。キャリア6戦目で1勝クラスの昇級初戦だった、5月6日の京都での内回りマイル戦。ラスト2ハロンが11秒1、11秒2という瞬発力勝負の中、2番手から上がり33秒6の脚でラスト1ハロン過ぎに抜け出すと、ゴール前で手綱を緩めながらも2馬身差をつけた。「本当に楽勝というか。京都は合うなと思いました」。初勝利まで5戦を要したとは思えないほど、楽々と手にした2勝目。
ターゲットは定まった。
快進撃は止まらなかった。「合うかどうか心配もありました」と振り返る初の小回りだった福島の
ラジオNIKKEI賞で重賞初挑戦初制覇。続く
毎日王冠は今まで一度しか経験がなく、唯一の着外(中京・3歳未勝利=9着)だった左回りで古馬との初対戦。トレーナーが「期待半分、不安半分」で見守るなか、好位から早めに抜け出すと、G1馬の
ソングラインと
シュネルマイスターの追撃を最後まで封じ込んだ。「思っている以上の成長を見せてくれています」と厚い信頼を寄せる。
そして、京都に戻ってきた。舞台は外回りになるが、極上の切れ味を引き出した平坦な直線は変わらない。「相性のいいコースですし、距離もいいパフォーマンスをしている1600メートルになりますから」と杉山晴師。短距離馬として初の
年度代表馬に輝くことになる
タイキシャトル、ダートや2000メートルでもG1を勝った異能の
アグネスデジタルなど6頭が3歳時に制し、歴史に名を刻んできたが、臆することはない。再び冷静な観察眼の上を行く走りで頂点まで駆け上がる。(山本 武志)
スポーツ報知