今年で開業2年目の
蛯名正義調教師。ジョッキー時代の実績は言わずもがな。数々の名馬を駆りビッグレースを制してきた。一方で調教師として成功できるかは未知数でもあった。実際、過去には何人ものレジェンドジョッキーが厩舎を構えてきたが、現役時代ほどの成績を残せなかったケースも少なくなかったからだ。
が、しかし。ここまでの蛯名正厩舎の成績を振り返ると、そんな心配は全くの杞憂だったと言えそうだ。開業年の11勝から、今年はすでに17勝と大きく数字を伸ばし、5月には
レッドモンレーヴでGII京王杯ス
プリングCをV。早くも重賞初制覇を達成した。まさしく順風な船出と言っていいだろう。
そして、今週は2023年の蛯名正厩舎にとって“
ハイライト”となりそうな予感がする。土曜(18日)東京のGII東京スポーツ杯2歳S(芝1800メートル) に
シャンパンマーク、日曜(19日)京都の
マイルCS(芝外1600メートル)に
レッドモンレーヴと、ともに人気の一角を占めそうな有力馬を送り出すからだ。
まずは何といっても東スポ杯。ジョッキー時代には
ジョウテンブレーヴ、
スムースバリトン、
ナカヤマフェスタ、
イスラボニータで計4勝も挙げている。そんなレースに、開業2年目にして管理馬を送り出すのだから…やはり相当に縁がある。
初戦は上がり3ハロン33秒1という出色の決め手を発揮しての差し切り勝ちで、蛯名師が「期待通りの勝ちっぷり」と目を細めれば、番頭格の津曲助手は「動きが良くなって、デビュー前以上の気配」とさらなる上積みをアピールしている。
ちなみに前出の“33秒1”は東京芝2000メートルの新馬戦における歴代最速タイの数字。今年の
NHKマイルCを制した半兄
シャンパンカラーに続く“大仕事”に期待がかかる。
マイルCSの
レッドモンレーヴもチャンスは大。休み明けの前走GII富士Sは「気難しい面があるので、そこを考慮しつつ、うまく気持ちを乗せながら」(蛯名師)の調整。それでいて実戦ではメンバー最重量の58キロを背負って2着。改めて性能の高さをアピールした。
「実戦を一度使って体に張りが出てきたし、心肺機能も良くなった。型通りに良化しています」
春の
安田記念では6着に敗れたが、当時の上位5頭のうち3頭が出ていない組み合わせ。初の京都コースが吉と出るようならば…逆転があっても不思議はない。
(美浦の飲ン
フィクション野郎・藤井真俊)
東京スポーツ