今年は4年ぶりに京都競馬場で行われる
マイルチャンピオンシップ(3歳上・GI・芝1600m)。17年に勝利し、18、19年と連続で3着以内に入るなどこの舞台が最も得意だった
ペルシアンナイトは、22年2月の現役引退後、6月から誘導馬デビューを果たし、現在は京都競馬場で活躍している。今週末は
マイルCSのターフで後輩たちを先導するという重要な役割を担う
ペルシアンナイトの今について、京都競馬場乗馬センターの田代さんに聞いた。
──普段
ペルシアンナイトはなんと呼ばれている?
我々職員は「
ペルシアンナイト」って呼びますが、京都競馬場にある乗馬の少年団の子どもたちは「ペルペル」って呼んでいますね。ファンの方からも誘導に出ると「あ、
ペルシアンナイトだ」って声をかけられたりはするので、よく見られているなという気はします。
──仲の良い誘導馬や、誘導中に見せる仕草は?
お馴染みの舌を出すところは健在ですね。あとは、以前在籍していた東京競馬場や中山競馬場の職員の方から聞いていた話では、「並ばれた時に、他の馬に対して噛みに行くことがある」と聞いていましたが、こちらでは乗っていても基本的にはそういう仕草はありません。ただ唯一、“同僚”の
サトノアーサーに対しては噛みに行きますね、現役の頃は一緒の厩舎にいたはずなのに…(笑)。普段はそんな風には見えないと思うんですけど、馬房の中では隣の馬と喧嘩することもあります。最近は隣の馬房に
アスクジョーダンを入れたのですが、穏やかな馬だからか喧嘩することは無くなりましたね。
──GIを勝ったことがある馬なので、気が強い部分も?
おとなしいときはすごくおとなしいんですけどね。ちょっと掴みどころがないです。スイッチが入ることもないので、普段から何を考えているのかわからなくて。我々職員も皆で「掴みどころない馬だよね」と話しています。
──誘導馬としての適性について、普段接していて感じられる部分は?
誘導馬に求められることは、主に「大人しい」「操作性が高い」というところなので、我々が一番気を遣うのは、誘導に行くまでのトレーニングなのですが、
ペルシアンナイトに関してはそれを行ったのがデビューした東京や中山の職員の方々なので。そちらでしっかりとトレーニングがされた状態でこちらにきてくれたおかげで、誘導馬としては初めから大変優秀でした。
■迫る晴れ舞台、
ペルシアンナイトのこれから
──いよいよ
マイルCS。
ペルシアンナイトが誘導を務める予定は?
もちろんそのつもりで準備しています。体調次第にはなりますが、当日は先頭で誘導できたらいいなと思っています。
──GIの誘導というのは職員の方も気合が入ったりするもの?
人それぞれだと思いますが、特別緊張することは無いですね。競走馬を先導することが目的なので、GIを走るような競走馬は
テンションが高かったり、我を見失う馬というのは少ないですから。むしろ2歳の新馬戦など若い馬が出るレースの方が緊張しますし、気を遣う場面も多いです。
──現役時代は京都で活躍していたこともあり、4月に東京から移動。この半年間での成長や、今取り組んでいることは?
京都競馬場では乗馬の少年団や、洛水高校の馬術部が活動されているので、誘導に使うだけでなく、彼らがきた際の練習パートナーという役割もあります。したがって普段から障害を飛ぶトレーニングをしたり、子どもたちに乗ってもらって練習をしています。今度は競技会にも出てみようかなと思っていて、そこに向けたトレーニングは京都にきてから積極的にやっています。
──誘導以外でも幅広く活躍しているのですね
開催が始まると外の競技会などに行くことは難しくはなりますが、徐々に使っていって、そういった中で子どもたちと競技場で走ることができたら馬としての使い道も広がっていくし、
ペルシアンナイト自身の生きる道にもなっていくのかなと思っています。もちろん誘導が無い日の方が圧倒的に多いわけですので、誘導だけできたら良いという訳ではなく、開催日以外でも活躍する馬になるように、という思いで京都にいる馬はみんな頑張ってトレーニングをしています。