◆第40回マイル
チャンピオンシップ・G1(11月19日、京都・芝1600メートル)
第40回
マイルCS・G1(19日、京都)の出走馬が16日、決まった。
レッドモンレーヴを送り込む
蛯名正義調教師(54)=美浦=は、
グレード制導入後では史上初となる調教師&騎手両方での同G1制覇が懸かる。騎手時代に
JRA・G1・26勝を挙げた名手が、調教師になって初の
ビッグタイトルへ万全の仕上がりで送り込む。
ジョッキー時代に99年
エアジハード、02年
トウカイポイントで
マイルCS2勝を挙げた蛯名正調教師。今回は同G1で史上初となる調教師&騎手でのダブル制覇に挑む。技術調教師時代に
藤沢和雄元調教師に師事し、美浦トレセンで昨年3月に開業して1年8か月が経過。旧藤沢和厩舎からの顔なじみのスタッフと切磋琢磨(せっさたくま)し、これまで28勝を積み重ねた。今春、名伯楽が8勝を挙げた
京王杯SCで重賞初制覇。初タイトルをもたらした
レッドモンレーヴと、厩舎3度目のG1に挑む。
蛯名正師は「もちろん、そういう素質のある馬を預けてもらっていますし、何とか結果を出せるようにと思っています」と力を込める。開業当初に恩師から受け継いだ期待馬だけに思い入れは格別。「この子が楽しく学校へ行って、楽しくレースをしてくれるように」と独特の表現でゲートインまでの過程を説明した。
それは気性の激しい
レッドモンレーヴの個性に合わせ、普段からおだてながら強要せず、馬なり調整が中心で気持ちを高めていく調教方針から出た言葉だ。この中間の調整も全て馬なり。20、21年に連覇した
グランアレグリアを管理した恩師の背中を見て学び、「馬に寄り添って、いかに走る気にするか」の“藤沢和流”を継承している。
騎手から転身し、試行錯誤の日々が続く。「どちらも大変で、どちらも一生懸命やっても結果が出ないことが多い仕事だけど、与えられたことを淡々とやっていくだけ」と気を引き締める。騎手として
JRA2541勝を挙げて常に注目を集める立場だが、蛯名正師は「注目されることはいいことで、こうやって取り上げてもらえるのはありがたい」。周囲の大きな期待を力に変え、大舞台へと臨む。(石行 佑介)
◆蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年3月19日生まれ。54歳。北海道出身。競馬学校を第3期生として卒業し、同期には
武豊ら。1987年3月にデビュー。96年に
天皇賞・秋を
バブルガムフェローで制しG1初制覇。10年に
アパパネで牝馬3冠を達成した。
JRA通算2万1183戦2541勝。重賞129勝(うちG1・26勝)。21年に調教師免許を取得し、翌年3月に美浦で厩舎を開業。同5月8日に初勝利。今年の
京王杯SC・G2で重賞初制覇。
スポーツ報知