先週の
ジャパンCでG1・6連勝を飾り、歴代最多の獲得賞金22億円超となった
イクイノックス(牡4歳、美浦・
木村哲也厩舎)の電撃引退が30日に発表された。
有馬記念に万全の状態で出走することは難しいと判断し、余力を残した4歳のうちに種牡馬入り。北海道の社台スタリオン
ステーションでけい養され、産駒は早ければ27年にデビューする。
最強伝説の終幕は突然、訪れた。世界中に強さを見せつけた
ジャパンCからわずか4日後、
イクイノックスが電撃引退。東京都内で会見を開いたシルクレーシングの米本昌史代表が「
ジャパンCをラストランとし引退。種牡馬入りすることになりました」と発表した。
このタイミングで引退を決断した理由は、
有馬記念出走が難しくなったのが大きかった。同代表は「
天皇賞・秋と
ジャパンCを走った疲れが見え、万全の調整が難しいと判断いたしました」。前走は自身最短の中3週。有馬も中3週になるため無理をさせないことになった。その上で国内最大の種牡馬のけい養先である社台スタリオン
ステーションから、
ジャパンC後にオ
ファーを受けたことも決め手となった。
同馬は前哨戦を挟まない近代競馬の象徴のようなローテーションで活躍した。22年の
皐月賞で初めて2着に敗れ、続く
日本ダービーは首差2着で涙をのんだが、ひと夏を越して成長を遂げた同年秋から快進撃がスタート。昨年の
天皇賞・秋で初タイトルを手にすると前走の
ジャパンCまで
テイエムオペラオー、
ロードカナロアに続く史上3頭目のG1・6連勝。この2頭は連勝の間にG2で敗戦があったが、イクイはG1のみで無双の走り。米本代表は「木村調教師とも話をしたのですが、本当に素晴らしいレースを見せてもらって、あれ以上のものがあるのだろうかと」と幕引きを説明した。
レーティング世界1位、22億円超えの総獲得賞金1位の実績を残し、種牡馬としての注目度は高い。「これだけのパフォーマンスがどれくらい子供に受け継がれるのか、楽しみしかないです」と米本代表。引退式、種付け料などは未定だが、最強遺伝子を後世に伝える伝説の第2章が始まった。
イクイノックス 父
キタサンブラック、
母シャトーブランシュ(
父キングヘイロー)。美浦・
木村哲也厩舎所属の牡4歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算10戦8勝(うち海外1戦1勝)。総獲得賞金は22億1544万6100円(うち海外4億5889万100円)。主な勝ち鞍は東京スポーツ杯2歳S(21年)、
有馬記念(22年)、ドバイ・シーマクラシック、
宝塚記念(ともに23年)、
天皇賞・秋(22、23年)、
ジャパンC(23年)。馬主は(有)シルクレーシング。
スポーツ報知