先週の
チャンピオンズCは
レモンポップが勝利。同一年の
JRAダートGI完全制覇で、史上4頭目の快挙でした。火曜5日は田中博調教師38回目の誕生日でもあり、当日朝の師はGI勝利&誕生日のダブル祝福を受けていました。それでも、クールな表情はいつも通り。「結果的には、内枠よりは外枠の方がよかったのかもしれません」と冷静に振り返っていました。
開業6年目の今年、
根岸S(
レモンポップ)で厩舎として初めて重賞を勝つと、勢いそのままに躍進。すでにGI・3勝を含む重賞7勝を挙げています。昨年はキャリアハイとなる36勝(うち地方1勝)を挙げるなど、順風満帆に映りますが、実は今年の年明けにはこんなことを明かしていたんです。
「日々スタッフとミーティングを繰り返して改善策を練りながら進めてきて、やりたいことが徐々に浸透してきた実感はあります。ただ、大きい舞台で活躍できていない。同期で開業した厩舎は重賞やGIをすでに勝っていて、タイトルでは後れを取っています。“負けたくない、何とかタイトルを取りたい”と思ってやっています」
当時、同期の高柳大、武幸、武英、林、安田翔、和田勇厩舎はすでに重賞を勝利。優秀な同期に囲まれたことで生まれた“コンプレックス”を口にしていました。
1年間静かに闘志を燃やしてきた田中博師。重賞複数制覇を達成した後もおごることはありません。「結果を出せたことはうれしいですが、まだ勝ち星は昨年を下回っていますし、満足はできません。ただ、結果を出せないと、やってきたことが本当に正しいのかと疑心暗鬼になってしまうことがあります。(1月に)重賞をひとつ勝てたことで、自信を持って恐れずに新しい取り組みができるようになりました。これからも臆せずチャレンジできる厩舎を掲げていきたいです」
重賞、そしてGIを勝った後も、舞い上がることなく
アップデートを続け次のレースを見据えます。
今週末は、香港国際競走に
ローシャムパーク(
香港C=芝2000メートル)、
レーベンスティール(
香港ヴァーズ=芝2400メートル)の2頭がスタンバイ。
ローシャムパークについては「前走(
オールカマー1着)は力をつけてくれているのがわかった一戦でした。入厩当初はカイ食いが悪く心配しましたが、回復して走りを見ている限りはいい状態にあると思います」。前走
セントライト記念を勝った
レーベンスティールについては「新馬戦で
ソールオリエンスに負けてからも、遜色はないと思って、何とか負かしたいと意識して取り組んできました。しっかりと結果を出して、やはり素晴らしい能力を持った子だな、と。この中間は思った以上にたくましくなっていて、よりいいパフォーマンスが見れるんじゃないかと思っています」。
どちらも期待は十分――。厩舎初となる海外G1制覇へ。今週も田中博厩舎に注目です!
(美浦の旬の厩舎注目女子・三嶋まりえ)
東京スポーツ