「
阪神JF・G1」(10日、阪神)
3番人気の
アスコリピチェーノが直線で力強く脚を伸ばし、1分32秒6のレースレコードV。3戦3勝とし、20年の
ソダシ以来となる無敗の2歳女王に輝いた。鞍上の北村宏は15年
菊花賞以来G1通算4勝目、管理する黒岩師はG1初制覇となった。2着に5番人気
ステレンボッシュ、3着は2番人気
コラソンビートが入り、関東勢が上位3頭を独占。1番人気の
サフィラは4着に敗れた。
キタサンブラックで制した15年の
菊花賞以来、8年ぶりのG1制覇。近年はケガにも悩まされた北村宏が、
アスコリピチェーノを2歳女王へと導いた。「スタンドを正面にして、いい景色だと思いましたね」。レース後、目に映る久しぶりの眺め。ベテランがうれしそうに笑った。
好騎乗が光った。密集する先頭集団から離れたインで脚を温存。直線に入り馬群がバラけたところで、馬場の真ん中へと持ち出した。右ムチを入れて一気にギアを上げると、阪神の急坂をものともせず先頭でゴールへ。2着
ステレンボッシュの国枝師が「完璧に乗ったな」と思わず声を掛けるほどの手綱さばき。それでも北村宏は「馬のおかげ。すごく状態が良く自信を持って臨んで、結果を出せた。ホッとしています」と謙遜して、目を細めた。
開業12年目の黒岩師にとっては、延べ11頭目の挑戦にして待望のG1初制覇。21年には
ラブリイユアアイズで2着があるだけに、リベンジを果たした形だ。「馬の力を出し切れてホッとしています…。よくよく考えるとうれしいですね」とまだ実感が追い付かない様子。中間は栗東滞在で意欲的な調整を積み「馬がどんどん成長していて、強い調教を積んでこられた。“これなら”と思っていました」とレースレコードでのVに胸を張った。
これで3戦3勝。今後について指揮官は「状態を見極めつつ、春の最大目標である
桜花賞(4月7日・
桜花賞)へ」と早くも宣言。「まだ変わりそうなところがある」と鞍上が言うように伸びしろも十分。成長を遂げた2歳女王が来春、桜の女王を目指して、仁川に舞い戻って来る。
提供:デイリースポーツ