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日本ダービー・G1(5月28日、東京・芝2400メートル、18頭立て=良)
タスティエーラ(牡3歳、美浦・
堀宣行厩舎、父
サトノクラウン)は、ダービー馬となっても世代の中心という感覚が薄い。23年クラシックを思い出すとき、最初に出てくるのは
皐月賞の
ソールオリエンスか、
菊花賞のドゥレッツアだろう。レースのパフォーマンスが残り2冠のほうが派手、というのもあるがやはり騎手の存在は大きい。
ソールオリエンスは
菊花賞まで
横山武史騎手がずっと乗っていたし、ドゥレッツアも6戦中4戦が
ルメール騎手でコンビという印象が強い。だが、
タスティエーラはライアン・ムーア騎手、
福永祐一元騎手、
松山弘平騎手、そしてダービーが
ダミアン・レーン騎手と、そこまでに4人も騎乗している。特にダービーはレーン騎手のテン乗り。初コンビで勝つのは、1954年
ゴールデンウエーブと岩下密政騎手以来という歴史的快挙だった。
ドウデュースと
武豊騎手しかりファンはどうしても騎手と馬の物語を重視するが、強い馬に名手が乗ればそんなものは関係ない、と言わんばかり。競馬の新しい扉を開いた勝利だったといえるだろう。
その後も
菊花賞はジョアン・モレイラ騎手、
有馬記念はムーア騎手と鞍上をめまぐるしく替えている。それでも大崩れはせず、一線級の活躍を続ける
タスティエーラ。外国人ジョッキー全盛の時代を象徴する、新時代のダービー馬だ。(角田 晨)
スポーツ報知