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マイルCS・G1(11月19日、京都・芝1600メートル、16頭立て=良)
レースを見終えて、しばらくあ然としていた。
ナミュール(牝4歳、栗東・
高野友和厩舎、父
ハービンジャー)が残り200メートルで、驚異的なスパート。外から他馬をのみ込み、待望のG1初制覇を果たした。今映像を見返しても、一頭だけ再生速度が異なるのでは? と思うほどの爆発力。上がり3ハロンは最速の33秒0。2位の
シュネルマイスターに0秒4も差をつけたのだから、記憶にも記録にも残る追い込みだった。
その約5時間前。
ナミュールに騎乗予定だったライアン・ムーア騎手が2Rで落馬負傷。急きょ、藤岡康太騎手へ乗り替わりとなった。富士Sで本格化を確信していたが、直前で騎手変更というアク
シデントに見舞われては…と思ってしまったのも事実。ただ、このコンビは高い高いハードルを乗り越えた。
藤岡康騎手は09年
NHKマイルC(
ジョーカプチーノ)以来の
ビッグタイトル。14年間経験を重ね、努力を怠らなかったからこそ、いきなり舞い込んだチャンスをつかめたのだろう。「ホッとしましたが、時間がたつにつれてうれしさが込みあげてきました」という言葉が印象に残っている。巧みな進路取りで、
ナミュールの持ち味を最大限に引き出した。
ナミュールは
香港マイル・G1にも遠征して3着と健闘。来年のマイル戦線でも主役を張ることは間違いないだろう。欲を言えば…。いつかまた、藤岡康太騎手とのコンビが見たい。(水納 愛美)
スポーツ報知