昨年いっぱいで騎手を引退し、1月1日付で調教師免許を取得した
田中勝春師。
中山金杯は93年(
セキテイリュウオー)、03年(
トーホウシデン)、07年(
シャドウゲイト)と3勝しており、正月と聞いて思い浮かぶ騎手の1人だった。
中でも07年の
シャドウゲイトは強かった。2着
アサカディフィート(当時9歳)に7馬身差をつける完勝。
中山金杯の前に走った
香取特別(1000万下=2勝クラス)も7馬身差で勝っており、クラスを飛び越えてのぶっちぎり劇となった。
田中勝騎手の乗り方も素晴らしかった。冷たい雨がそぼ降り、芝は重。3番人気の
シャドウゲイトは互角のスタートから前に出て、逃げの態勢に入った。
しかし、1角で外から
ワンモアチャッターが先手を主張する。ここでむやみに抵抗することなく、サッと引いて2番手へ。その位置できっちりと折り合いをつけた。
3角を過ぎて手応え良く上昇。迷わず
ワンモアチャッターをかわした。周囲を入念に見回して、後続が来ていないことを確認すると馬の気持ちのままに前へ。
直線では、スタンドのどよめきとともに後続をちぎり捨てた。
シャドウゲイトの強さの前に先団は総崩れ。2着
アサカディフィートは4角15番手から突っ込んできた。
実は
香取特別が
シャドウゲイトとの初コンビだった田中勝騎手。2戦連続の圧勝劇に「前走も強いと思ったが…。オープンでこんなにうまくいくとは」と驚いた様子で語った。
そして、こう付け加えた。「これが本格化したということだろう。先が楽しみになった」。予言?通りに
シャドウゲイトはこの年の5月に
シンガポールで
シンガポール航空国際Cを田中勝騎手の手綱で快勝した。
実は馬だけでなく、“人”も覚醒した。田中勝騎手はこの年、
皐月賞(
ヴィクトリー)を筆頭に、
中山金杯も含めて
JRA重賞5勝。
JRA・G1制覇は92年
安田記念(
ヤマニンゼファー)以来、15年ぶりだった。
この年の
京都金杯は
マイネルスケルツィが柴田善の手綱に導かれて勝利。関東馬がこのレースを制したのは初めてだった。ちなみに京都2Rではモチという名の3番人気馬が勝ち、正月気分にふさわしい馬として話題となった。
スポニチ