伝統のG2「第65回アメリカジョッキークラブC」が21日、中山競馬場で行われ、短期免許で来日中の女性騎手
レイチェル・キング(33=
オーストラリア)騎乗の3番人気
チャックネイトが重賞初制覇を飾った。2着
ボッケリーニとのワンツーとなった金子真人オーナーは98年から27年連続の
JRA重賞勝利となった。
同じ勝負服、染め分けピンク帽の壮絶な叩き合い。内
チャックネイトの鞍上キングのムチがうなる。いったんは完全に
ボッケリーニに前に出られたが、ラスト100メートルで盛り返す。「瞬発力勝負では他の馬には勝てないと思っていた。長所のスタミナを生かすことができた」とキング。泥んこの不良馬場で繰り広げられたダービージョッキー浜中との死闘。ゴール直前、キングの鼓舞に応えた
チャックネイトの鼻先がわずかに前に出た。
外国人女性騎手が
JRA重賞を勝つのは02年
中山大障害の
ロケット以来22年ぶり2人目。平地重賞では初の快挙だ。「こうやって日本に来られて重賞に参加できて勝つことができてうれしい」。重賞騎乗は3週連続3回目で全て堀厩舎の管理馬。「落ち着いて走れるように、厩舎スタッフと相談して臨んだ。サポートしてくれている厩舎で勝てて
ファンタスティック」と喜びを爆発させた。
「オフにはさまざまな場所を冒険したい」とおちゃめな一面も持つ33歳だが、騎乗ぶりは冷静そのもの。自らの武器を「スタートの技術と、リズム良くレースの流れに乗れること」と分析する通り、この日も好発から3番手を難なく確保。「今日は雨の影響で本当に馬場が悪かったのでリズム良く乗るように心がけた」。4角で前2頭の手綱が動いても、後続が差を詰めてきても、人馬の呼吸を第一に焦らずジッと脚をためた。泰然自若なエスコートが最後のひと伸びにつながった。
同じく不良馬場だった前回辰年(12年)の当レースを制した
ルーラーシップは、後に香港G1クイーンエリザベス2世Cを勝ち、G1馬まで上りつめた。底力を問われる消耗戦を勝ち切った価値は大きい。晩成型の名馬を多く出してきた
ハーツクライ産駒。次走は未定だが、キャリアで一度も掲示板を外していない堅実な6歳セン馬。さらなる大舞台で活躍する日は遠くはない。
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レイチェル・キング 1990年7月31日生まれ。英国
オックスフォード近郊
ウォーターペリー出身の33歳。06年に英国でアマチュア騎手としてデビュー。14年から
オーストラリアを拠点に騎乗。16〜17年シーズンにシドニーの見習い騎手リーディングを獲得。18年ス
プリングチャンピオンSをメイドオブヘヴンで制しG1初制覇。昨年はタンクレッドS(
アラパホ)などG13勝。昨夏の札幌WASJで初来日。第1戦を勝利し女性騎手の過去最高となる2位入賞。
JRA通算43戦5勝。1メートル54。好きな日本食は刺し身。
チャックネイト 父ハーツクライ 母ゴジップガール(母の父ダイナフォーマー)18年5月8日生まれ セン6歳 美浦・堀厩舎所属 馬主・金子真人ホールディングス 生産者・北海道千歳市の社台
ファーム 戦績15戦5勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億4502万7000円 馬名の由来は「人名+人名」。
スポニチ