スマートフォン版へ

落馬事故からの復帰を目指す古川奈穂騎手の「新年」の思い「私の2024年はまだ始まっていない」

スポーツ報知
  • 2024年01月23日(火) 16時00分
 時がたつのは早い。つい先日まで有馬記念でドタバタしていたような感覚なのに、もう新たな年に入ってから20日以上が過ぎた。そんな中、ある騎手から聞いた言葉が頭から離れない。「私の2024年はまだ始まっていないんです」。

 古川奈穂騎手=栗東・矢作芳人厩舎=はそう何度も繰り返した。昨年12月9日の中京8R。騎乗したサツキスマイルが3コーナーで前の馬に乗っかかるような形でバランスを崩し、そのまま地面に叩きつけられた。「落ちた瞬間や、その前後のことは覚えていません」。

 記憶が戻ったのは競馬場内のレントゲン室。周囲の人の会話が耳に入ってきて、左鎖骨を骨折したことが分かった。しかし、何よりも知りたいことが一つあった。「私が乗っていた馬に大きなケガや異常がなかったこと、周りの馬にも(故障などの)影響がなかったことは確認しました」。もちろん、自分のミスであることをしっかりと受け止めた上で騎手として、馬を愛する人間としての本能から出た行動だった。

 患部はそのまま回復を待つ保存療法も可能だったが、早い時期での復帰を考えたうえ、ワイヤーで固定する手術を受けた。現在はリハビリと並行して、体も動かしている。「下半身は動かせるので、今までと同じようなトレーニングを続けていました。上半身の負荷もこれから徐々にかけていく感じです」。焦らず、黙々とメニューをこなす日々だ。

 23年はキャリアハイを大きく上回る25勝。騎乗数も過去2年より大幅に増えた。「今まではレースの中で自分が焦ってしまったり、人間の気持ちがメインになるようなところがありました」。その意識に変化を与えたのは横山典だ。札幌で食事に同席したことがきっかけで、調教スタンドなどでは東の名手の話に熱心に耳を傾けた。「馬のリズム、気持ちを大切に、と話していただきました」。自然と落ち着いた状態でレースに臨めるようになり、好循環が生まれた。

 もちろん、現状に満足していない。「スピードある馬に乗せていただいた勝利が結構多くて、減量に助けられている面があります」。その言葉通り、昨年の25勝中19勝が4角で3番手以内。積極的に運び、最後まで踏ん張り通すという印象が強い。ただ、現在は通算42勝。女性騎手の減量制度が4キロから3キロに変わる51勝のラインはしっかりと意識している。「3キロ減が徐々に迫ってきていますし、自分自身の技術をさらに磨いていきたいです」と言葉に力を込めた。

 1月23日から滋賀県・栗東トレーニングセンターで調教騎乗を再開。大好きな馬上へ、約1か月半ぶりに戻ってきた。実戦復帰も、そう遠い日ではないだろう。古川奈穂の2024年がもうすぐ始まる。(中央競馬担当・山本 武志)

スポーツ報知

いま読まれています

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す