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“美浦のお母さん” 孫・石神深道のデビュー心待ち

スポニチ
  • 2024年02月07日(水) 10時00分
 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は美浦取材班の高木翔平(33)が担当する。今回登場してもらうのは、障害界の顔・石神深一(41)の義母で調教スタンド内の食堂を営む山口照江さん。めでたく競馬学校を卒業した孫・石神深道(18)にエールを送った。

 美浦調教スタンド1階にある「キッチンやまぐち」で、いつもせわしそうに働いている山口照江さん。騎手、調教師、トラックマン…、1日100人以上の胃袋を満たす“美浦のお母さん”だ。照江さんは「この仕事を始めてから5年くらい。何かを作るのが好きなんです。直接、問屋さんに行ってお肉やタレ、スープの素なども仕入れています」と語った。

 そんな照江さんの義理の息子は、最優秀障害騎手の常連・石神深一オジュウチョウサンという希代のスターと相棒を組む前から、年末は中山大障害を現地観戦するのが恒例となっている。そんな父の背を見て騎手の道を志した深道は目に入れても痛くない孫。6日に晴れて競馬学校を卒業し、照江さんは「本当にうれしいですよ。(調教で)2人が一緒に乗っているところをこそっと見に行った時は、不思議な気分になりましたね。お手本が近くにいるということは凄くいいことなんじゃないでしょうか」と声を弾ませた。

 幼い頃から明確に騎手という夢を抱いていた深道。自宅ではバランスボールで平衡感覚を鍛え、照江さんがジムや塾への送り迎えもすることもあったという。「優しくて素直な子。何年か前の誕生日には、ハートの幸福の置物をプレゼントしてくれて思わず泣いちゃってね」と思い出し笑い。それでも、食堂で百戦錬磨の名手たちと触れ合う照江さんだからこその目線も。「活躍する騎手はどこか厳しい面もあるじゃないですか。(深道も)内に秘めるものがあると思う。長男だから我慢強いですしね。いつかはお父さんに似てくるんじゃないかな」と期待した。

 豚肉やニンニクの芽が入った名物・スタミナうどん、スタミナ丼(共に400円)が売りの食堂は、全休日以外の火〜日曜で営業。しかし、来月3月2日だけは珍しく閉まっているかもしれない。「デビューの土曜だけは休ませてもらって中山に応援に行きたいなと思っています。まずは無事にゴールしてくれたらうれしいです」。いつもハツラツとトレセンを支える“美浦のお母さん”。おばあちゃんとして迎える深道のデビュー戦は、忘れられない瞬間となりそうだ。

 ◇高木 翔平(たかき・しょうへい)1990年(平2)4月29日生まれ、広島県出身の33歳。15年入社で競馬班一筋。23年から東京本社予想を担当。

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