JRAのダートGI/JpnI(18年のJBCレディスC除く)に出走した牝馬はのべ60頭いるが、3着以内に入った馬はうち5頭のみ。芝では牡馬と互角以上に張り合う牝馬も珍しくないが、ダートではGI級ともなると牡牝の差はまだまだ大きい印象がある。
22年の
フェブラリーステークスにおいて、3着となった
ソダシ。勝利こそならなかったが、牡馬相手にしぶとく食い下がり、改めて実力を示した一戦だ。今年最初の
JRA・GIを前に、同馬のダート挑戦を振り返ってみよう。
20年7月に札幌でデビュー勝ちを飾ると、
札幌2歳S、
アルテミスS、さらには阪神JF、
桜花賞と5連勝。白毛初の芝重賞制覇、白毛初のGI制覇など、“白毛初”の記録を次々に打ち立て、愛らし見た目も相まって
アイドルホースに上り詰めた。
オークスでは8着だったが、
札幌記念では古馬撃破。しかし、
秋華賞ではゲートでのアク
シデントもあり、10着に敗れた。
次走が注目される中、陣営が選んだのは砂への挑戦だった。下半期の
JRAダートチャンプ決定戦チャンピオンズCに出陣。
ソダシは父がダート王者
クロフネ、母は砂で4勝の
ブチコ。さらに伯
母ユキチャンは牝馬のダート
グレード競走3勝ということもあり、「
ソダシはダートでこそ」の声もあった。ところが、結果は12着。マイペースでレースを引っ張ったものの、早々に失速してしまった。
ダートは合わないのか? 競馬ファンの中でも意見は割れた。だが、
ソダシは再び砂を踏む。年明け初戦に選択したのは、
フェブラリーSだった。
3枠5番から白い馬体はスタート。若干ゲートで立ち遅れたものの、スローを見越して前目に付けると、逃げ馬を行かせて2、3番手から運ぶ。4コーナーからじわじわ仕掛けて、直線は父を彷彿とさせる力強いス
トライドで懸命の疾走。
カフェファラオ、
テイエムサウスダンには届かなかったが、強豪牡馬を相手に0.5秒差の3着に入った。2戦連続の二桁着順から一変。復調への大きなきっかけをつかんだ。
改めて示した高い適性。ワンターンのマイル戦はやはり走る。ならばと次走は再び芝に戻り、
ヴィクトリアマイルに挑むと、4番人気の評価を覆して2馬身差の圧勝。3つ目のGIタイトルをつかんでいる。その後もマイルを中心に活躍続けた
ソダシ。繁殖牝馬としても、芝・ダで“二刀流”の活躍馬を送り出すだろうか。