9日は静内地区3か所のスタリオンが種牡馬展示会を行った。JBBA静内種馬場からスタートし、新種牡馬を含む10頭が展示された。今年から供用される
シャープアステカ(牡11歳、父
フロイド、母ソーシャープ)は、17年
シガーマイルH(G1)で2着
マインドユアビスケッツに5馬身差の圧勝を演じ、G1初制覇を飾った。22年は北米
ファーストクロップ及び2歳総合サイアーランキング勝ち馬数でトップに立ったことから、日本の競馬に求められる早期の活躍が期待される。
続いて、
アロースタッドでの展示会では29頭がお披露目された。
アロースタッドの看板種牡馬である
シニスターミニスターが最初に登場した後、5頭の新種牡馬がお披露目された。
カフェファラオ(牡7歳、父
アメリカンファラオ、母メアリズフォリーズ)は、21年と22年のフェブラリーSを連覇。22年は
南部杯も制し、
JRA賞最優秀ダートホースに輝いた。
アメリカンファラオの国内後継種牡馬は、
フォーウィールドライブと
ヴァンゴッホに続いて3頭目。丈夫な体質で競走生活を終えたことに加え、半姉にアメリカ芝牝馬チャンピオンのリーガル
グローリーなどがいる優れた牝系など、種牡馬としての資質を高く評価されている。
そして
パンサラッサ(牡7歳、父
ロードカナロア、
母ミスペンバリー)は、22年
ドバイターフと23年サウジCを逃げ切るなどG1・2勝。個性的な逃げ馬だったが、
サンデーサイレンスの血が入っていない
ロードカナロア後継種牡馬として、産駒には様々なタイプが誕生する可能性を秘める。夏にはシャトルで
オーストラリアに渡ることも、この場で発表された。
テーオーケインズ(牡7歳、
父シニスターミニスター、
母マキシムカフェ)は、21年チャンピオンズCと
帝王賞、22年
JBCクラシックを制した。父と同じスタリオンで種牡馬入りとなり、その役目も大きい。
ファストフォース(牡8歳、父
ロードカナロア、
母ラッシュライフ)は、21年
CBC賞を1分6秒0の日本レコードで逃げ切り、
ピクシーナイトらを退けた。そして、不良馬場で行われた昨年の
高松宮記念を差し切った。あらゆる馬場に対応したチャンピオンス
プリンターで、スピードが求められる近代競馬において、
ロードカナロア×
サクラバクシンオーの配合は大いに魅力だ。
ユニコーンライオン(牡8歳、父ノーネイネヴァー、母ムラフカ)は、芝2000メートルのG3を2勝の他、21年
宝塚記念で2着の実績がある。サンデー系やミスプロ系との配合を可能とする血統面に注目し、希少となるスキャットダディ系種牡馬への期待が膨らむ。
3か所目となるレックススタッドは、新種牡馬3頭を含む23頭が展示された。まずは、22年
JRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出された
タイトルホルダー(牡6歳、父
ドゥラメンテ、
母メーヴェ)が登場。早世した
ドゥラメンテの貴重な後継種牡馬として、引退発表後は申し込みが殺到した人気を誇る。展示会に駆け付けた
栗田徹調教師は、運動神経と心肺機能の素晴らしさをストロングポイントに挙げていた。
ダンシングプリンス(牡8歳、父
パドトロワ、
母リトルブレッシング)は、伯父に
デュランダルなどがいる優秀なファミリー。
スウェプトオーヴァーボード~
パドトロワと継がれる貴重な父系だが、22年
JBCスプリントとリヤドダートス
プリントを逃げ切ったスピードは、産駒へとつながっていくことだろう。
そして、
マスタリー(牡10歳、父キャンディライド、母ステディコース)は、16年キャッシュコールフューチュリティなど4戦4勝。18年に種牡馬入りし、初年度産駒からG2ウィナーを送り出し、国内では
サクセスローレルが
バレンタインS5着など
JRAオープンで活躍中。キャンディライドの後継では、
ガンランナーとトワーリングキャンディがG1馬を多数輩出しており、活力ある父系と言える。キャンディライドも6戦6勝で将来を嘱望されたが、脚部不安で引退。
マスタリーも志半ばでの種牡馬入りとなったが、これまでの産駒の活躍を考えれば、新天地でのさらなる飛躍が期待される。(競馬ライター)
スポーツ報知