現地時間3月30日(土)、ドバイ・メイダン競馬場で行われる
ドバイワールドカップ(北半球産4歳上、南半球産3歳上・首G1・ダ2000m)に、異色の経歴を持つ
カビールカーン(
Kabirkhan、牡4、首・D.ワトソン厩舎)が参戦する。
同馬は父
カリフォルニアクローム、
母Little Emily、母の父
Castledaleという血統の米国産馬。デビュー戦は中央アジアの
カザフスタンで迎えた。同国は日本でもお馴染みB.ムルザバエフ騎手の出身国であり、格闘技や自転車競技、サッカーなどが盛んだという。だが、競馬においてはまだまだ発展途上のようで、国際
グレードが付与されているレースはない。
伝説の幕開けとなったアルマトゥイ競馬場は、とても牧歌的な雰囲気。22年6月のデビュー戦を映像で見ると、ラチ沿いには草が生い茂り、コース上には水が浮いていた。3頭立ての3番手から運んだ
カビールカーンは、直線で大外からするどく脚を伸ばして快勝。幸先の良くキャリアスタートを飾った。
その後、ローカルG1を制すなど連勝を「3」まで伸ばし、無傷のままロシアへと移籍。すると同国でも破竹の勢いで白星を積み重ね、つぎつぎにローカル重賞を制した。ロシアダービーで2着に敗れて連勝はストップしたものの、通算9戦8勝の成績を引っさげて今度はドバイへ本拠地を移す。転入初戦のハンデ戦を快勝して勢いを取り戻すと、続くアルマクトゥームチャレンジ(首G1)で
ビッグタイトルを獲得。4.3/4馬身差で圧勝し、パートI国のG1タイトルを手にした。
G1制覇の勢いそのままに
ドバイWCを勝利すれば、これほどまでの
サクセスストーリーは他にないだろう。決して競馬先進国ではない
カザフスタン、ロシアで実績積んだ怪物。世界の頂点を目指して、日本馬の前へと立ちはだかる。