2022年の
セントウルSなど、重賞6勝を挙げた
メイケイエール(牝6、栗東・
武英智厩舎)の引退式が24日、中京競馬場で行われた。
メイケイエールは父
ミッキーアイル、
母シロインジャー、その父
ハービンジャーという血統。祖
母ユキチャンは白毛馬として初の重賞勝ち馬で、
母シロインジャーも白毛だが、本馬は鹿毛である。オーナーは中京競馬場を所有・管理する名古屋競馬株式会社。
メイケイエールは20年にデビュー。新馬戦、小倉2歳S、
ファンタジーSと無傷の3連勝を飾り、続く阪神JFでは同じ白毛一族の
ソダシの4着となった。翌21年は初戦の
チューリップ賞を制するも、
桜花賞で18着と大敗。以降はス
プリント戦を中心に使われ、GIには手が届かなかったものの重賞3勝(計6勝)を挙げ、24日の
高松宮記念(9着)がラストランとなった。今後は北海道勇払郡安平町のノーザン
ファームにて繁殖牝馬となる予定。関係者のコメントは以下の通り。
■馬主 名古屋競馬株式会社代表取締役社長 加藤慎也氏
「結果は9着となりましたが、エールらしい走りを見せてくれたと思っております。エールをこれほどの馬にしていただいた武先生始め厩舎スタッフの皆様、レースに騎乗し重賞勝利に導いてくださった
武豊騎手、池添騎手、育成や調整で御尽力いただきましたノーザン
ファームの皆様、そして、いつも応援してくださったファンの皆様、この場をお借りして心から感謝を申しあげます。その想いに応えて大きな怪我なく今日まで走りきってくれた
メイケイエール。本当にありがとう。
今後、
メイケイエールは北海道ノーザン
ファームさんにて繁殖牝馬となります。順調にいけば3年後にその子どもがターフに帰ってきます。どうか
メイケイエールの子どもたちにも温かいご声援をよろしくお願いいたします。
最後になりますが、改めまして応援してくださったファンの皆様に御礼申しあげ、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました」
■
武英智調教師
「今は終わったなという感じです。約4年間なんですけど、本当に一瞬でした。大変なことばっかりでしたけれども、
メイケイエールはよく頑張ってくれたと思います。
ここまで難しい馬というのはそうそうおらず、レースの度に課題がたくさんあったので、色々試行錯誤しながら、色んなことをスタッフと牧場関係者の皆さんと相談しながらやってきました。全てが思い出です。
今日は今後のことを考えずに済むということでゲート中心にやりましたし、今日は悔いのないように仕上げてきたつもりです。
パドックも本当によく見えましたし、4コーナー回ってくる時はいつもの良い時の
メイケイエールの走りだなと思っていました。
ただ今日も天候に恵まれず、最後は走りにくそうにしているんで怒っているのかなとは思っていました」
■
池添謙一騎手「今日のレースはゲートも我慢してくれましたし、前走と違って普通にスタートを切ってくれたので、ポジションも取りに行けました。
道中はいつもかかっていく感じでしたが、今日は我慢をしてくれました。本当にいい形で回ってこれたので、今日はいいんじゃないかなって思って乗っていました。
綺麗な走りをする馬なので、こういう重たい馬場だと、やはり向いていなくて、本当に良馬場で走らせてあげたかったなっていう風に思いました。
(2021年の秋からコンビを組んできて1番印象に残っているのは)これ1つというのは挙げられないですが、僕は追い切りだけだったので、普段大変な思いをしているのは調教助手さんですが、本当に常に追い切りにしてもレースにしても緊張感があって、安心してレースに臨むことはなかったかなということです。
常にこういう状況だから上手くいったからペースが大丈夫とか、そういうのは一切なくて、本当に初めてと言っていい子だったので、いい経験させてもらいました。最後GIタイトルを取りたいと思っていましたが、そこはちょっと取れなかったのは残念です。ただ
メイケイエールには次の目標があるので、無事に終わって良かったなと思っています。
僕の前に騎乗していた
武豊騎手からメッセージをいただいています。今日ドバイに向かうので本日は出席できなかったのでコメントをもらってきました。『常に
メイケイエールに騎乗している時は悩んでいました。勝った時でも負けた時でも、無事に終わってホッとする自分がいました』という風に言っていました」
■荻野要調教助手
「常に
メイケイエールちゃんに怒られていたので、馬房とかでも耳を絞ってずっと怒られていました。結果最後まで僕の片思いでした。寂しくなりますが、エールちゃんには次の仕事がありますので、無事にいい子を産んでくれたらなと思います」
■日比野哲也調教助手
「僕は、新馬戦の前まで乗せていただきましたが、それ以降そのまま
メイケイエールの調教騎乗することはなかったので、比較的良好な関係だったと思います。また、この馬は本当にすごい馬だと思っていますし、勇気と感動をたくさんもらいました。
こんなにたくさんのファンの皆様に愛していただける馬はなかなかいないと思いますので、本当に感謝でいっぱいです。これから
メイケイエールには、たくさん大変な仕事が待っていると思いますが、これからの生涯に幸多からんことをお祈りしています」
■吉田貴昭厩務員
「最後に
メイケイエールと一緒にベストターンドアウト賞を受賞することができて本当によかったなと思います。最近、引退レースのことで、寂しくないですかと聞かれることが多く、実感が湧かないと答えていたのですが、いざ引退式となると寂しく思います。今日も一生懸命に走ってくれて、泥だらけで帰ってきてくれただけでよかったです。
メイケイエールは今後、北海道に行って繁殖生活を送るわけですが、会いに行ける機会があれば会いに行きたいと思うので、忘れないでいてほしいなという思いです。今までありがとうございました」
■生産者 ノーザン
ファームしがらき場長 松本康宏氏
「これほど多くのファンの皆さんに引退式として送ってもらえるのは、非常にノーザン
ファームとしても光栄です。
GIは勝てなかったですが、すごく個性的で、かつ強い時はすごく強いという力を見せられたのが、本当に彼女の魅力だったのかなと思います。これからも皆さんに応援してもらえるような馬をどんどん作っていきたいなと思います。
メイケイエール自体、しがらきの方ではスイッチがオフになるので、どちらかというと大人しい扱いやすい部類の馬でした。調教の時は多少行きたがるところはあるのですが、実際、しがらきの調教としては馬をなだめてあげるというか、できるだけ乗りやすく、そういう
テンションっていうところを目指してやっていました。繁殖に行けば大人しくしてくれるのかなと思っています。
できれば子供も競馬でも大人しく調教師さん、助手さん、ジョッキーの言うことを聞いてほしいです。ただ、一生懸命走るところだけは引き継いでいただきたいなと思っています」
(
JRAのホームページより)