昨年のホッカイドウ競馬は、チャンピオンの座を空席にしたまま、幕を下ろすことになった。あまり進んで思い出したくないことだが、その席に座る者が決まるはずだった、頂上決戦たる
道営記念で、大きな落馬事故が起きてしまったからだ。もちろん、1着の
シルトプレは素晴らしい走りをした。ただ、半数以上の馬がゴールできなかったレースであり、ラ
イバルたちとの勝負は持ち越されたと見るべきだろう。
今年の
コスモバルク記念は、
シルトプレと、当時完走できなかった
ベルピットとの再対決が何よりの見どころである。
シルトプレは、今シーズンの門別開幕に先立って
川崎記念へ挑戦した。結果は7着と振るわなかったが、もともと輸送で大きく体を減らす馬で、オフシーズン明けの身に遠征競馬が強く堪えたようだ。
エルムSでの5着健闘などには全国レベルの地力がはっきりと現れており、地元戦なら本来の走りを取り戻すはずである。
一方の
ベルピットは、オフシーズンの休養を挟み、4月25日の地元オープン戦で今年緒戦を迎えた。落馬後初のレースであり、件の
道営記念を除けば古馬との初対決だったわけだが、そんな不安を払拭するどころか、昨年の
赤レンガ記念勝ち馬である
ハセノパイロ以下に大差をつけて楽に逃げ切り、成長ぶりをまざまざと見せつけた。不良馬場とはいえ、1分52秒2という走破タイムは、白砂に替わったあとの門別1800mで最速である。
シルトプレにマークされるレースになればまた勝手は違うだろうが、それを凌ぎ切るシーンも十分に考えられる。
2頭のマッチレースに割って入るのは至難の業だ。わずかでもその可能性が見い出せるのは、南関東からの転入緒戦を迎える
スワーヴアラミスくらいだろう。中央重賞V歴もあり、南関東移籍後もダート
グレードを含めた重賞戦線でコンスタントな活躍を見せている。今回は新天地での活躍を占う一戦となりそうだ。馬券戦略という意味では、この馬を筆頭にした”3頭目”の選択が肝だろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)