今年で第10回を迎える
ヒダカソウカップだが、その歴史は波乱の連続だ。これまでで1番人気の勝利は1度しかなく、近5年の3連単の平均配当は10万を超えている。数少ない古牝馬重賞とあって、クラス、距離、年齢といったカテゴリーがバラバラな馬たちが機を逃すまいと集結するうえ、そもそも施行回数の少ない内回り1600mが舞台なのだから当然である。今年も思わず予想の匙を投げたくなるような混戦模様だ。
どの切り口で予想するかによって印の序列はまるっと変わってくる。格・実績という切り口で考えると、
レスペディーザ、
ウワサノシブコあたりが上位の評価になる。昨年の
ノースクイーンCのワンツーでもあり、牝馬同士なら格上の存在だろう。
格より勢い重視、という見方なら
ブリックロードが最適である。重賞挑戦は昨年夏の星雲賞6着以来となるが、先手を取れないと脆かった当時と違い、相手に合わせる形に対応している今なら好勝負可能だろう。
斤量に目を向ければ、
ピンクヴェノム、
ポルラノーチェという3歳馬2頭の51kgは有利に映る。前者は転入緒戦の
エトワール賞で一線級牡馬相手に2着と好走し、新天地で活路を開いた。後者は前走でC3クラスを勝ったばかりだが、走破タイムは
ニシケンボブが勝った同日のA1クラスとほぼ同じ。揉まれる競馬に不安はあるが、潜在能力自体は通用する。
かなりのハイペースが見込まれるゆえ、流れに乗れないタイプを展開から狙うというやり方や、他場で力をつけてきた再転入馬の経験値に着目するという手もある。このようにどんなスタンスに立ってもいいレースなのだが、裏を返せば答えの出ないレースということでもある。目印のない森の中で子兎を追い回すような堂々巡りの思考の果てに、筆者はひとつの穴に行き当たった。
アリススプリングスが持つ、器用さのあるス
プリンターという性格は、傾向的に内回りコースにマッチするのではないか。中央2勝クラスの地力と合わせて注目してみたい。不思議の国で開催される競馬は、さぞ魅力的なものだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)