ロマンチックは海を渡っても止まらない!!春の最強マイラー決定戦「第74回
安田記念」が2日、東京競馬場で行われた。香港から参戦した
ロマンチックウォリアーが1番人気に応え、昨年の
コックスプレート(
オーストラリア)から続くG15連勝(通算8勝目)を達成。
安田記念の外国馬Vは、06年の香港馬
ブリッシュラック以来18年ぶり。香港馬の
JRA・G1制覇は6度目。鞍上のジェームズ・マク
ドナルド(32=ニュージーランド)は日本初勝利をG1で成し遂げた。
強い、強過ぎる。ラ
イバルの脚色が明らかに苦しくなった直線。
ロマンチックウォリアーだけが真一文字に伸び続ける。これで
オーストラリア、香港、日本を渡り歩いてG15連勝。18年ぶりに香港馬が
安田記念を制した。シャム師は「最後までナーバスにはならなかった。馬、騎手、チームそして私にも自信があった」。力強く「
コンフィデンス(自信)」というワードを4回繰り返した。
3つの逆風をはね返した。初の日本遠征。遠目でも分かるほどに発汗していたが、いつも通り好位をゲット。久々のマイルG1の流れでも問題なく追走した。そして、最大の逆境は4角から直線にかけての攻防。先週のダービーを制した日本が誇る名手・横山典が外から馬体を併せ抑え込む。「外からの圧力が強く、4、5歩分は(仕掛けが)遅れた」と鞍上。それでも前の馬が内に進路を取り開けたVロード。一瞬で最大速度に達して抜け出すと、迫る
ナミュールを半馬身差で退けた。「ラスト1Fで彼が本気を出すと、なかなか付いてこられる馬はいない。私のキャリアの中でもベストな馬です」。ゴール後、右手を高く突き上げた鞍上は相棒を絶賛した。
シャム師にとっても格別な1勝となった。調教助手時代は
フェアリーキングプローン(00年
安田記念V)、
インディジェナス(99年
ジャパンC2着)などを手がけた
アイヴァン・アラン厩舎に所属し、何度も日本遠征に同行した。「かつての経験が生きた。当時は競馬学校(千葉県白井市)で検疫を受けさせられたが、今は(国際厩舎の完成で)直接東京入りできるので調整がしやすくなった」。師匠に肩を並べた喜び、そして整えられた
JRAの環境に感謝を述べた。
日本の調教施設に学び、18年8月、中国本土の広東省に従化区(ツォン
ファー)トレーニングセンターが完成。若駒時代から立派な坂路で鍛錬を積んできた。昨年末の香港国際競走、今年4月のチャンピオンズデーと日本馬は勝利なし。着実につけた実力を、アウェーでも存分に見せつけた。
今後についてシャム師は「10月まで走らせない。前哨戦を使うかは未定だが、次戦は年末の香港ミーティング(国際競走)になると思う」と語った。延べ30頭の日本の精鋭馬に一度も先着を許していない香港の雄。暮れの大一番でも日本勢の高い壁として立ちはだかる。
ロマンチックウォリアー 父
アクラメイション 母フォークメロディ(母の父
ストリートクライ)18年3月18日生まれ セン6歳 香港・シャム厩舎所属 馬主・パッファイ・ラウ氏 生産者・アイルランドのCorduff Stud 戦績20戦15勝(重賞9勝目) 総獲得賞金約27億6808万円 香港馬名は浪漫勇士。
スポニチ