5月に行われた
フロイラインス
プリント、今回の
フロイラインカップは、昨年にはなかった3歳牝馬重賞である。前者は紛れもない新設重賞だが、後者は過去に行われていた経歴があり、今年を第10回として扱う復刻重賞である。ちなみに、2010年に行われた第9回優勝馬は、三冠馬
クラキンコだ。そんな過去の名牝たちに思いを馳せつつ、今年のメンバーを見渡してみよう。
今年の施行条件は外回り1700mである。実績から中心的存在となるのは、
フロイラインス
プリントから重賞連勝を狙う生え抜き馬
ヴィヴィアンエイトだ。昨年は今回と同舞台のブロッサムCを勝利しており、長く脚を使う走りからも、距離適性自体に疑問はない。今季2戦とも1200mを使ったことで、走りの質がそちらに寄っていないかが鍵だが、大きく崩れるシーンは考えづらい。
対するは、中央から移籍して頭角を現した2頭、
ポルラノーチェと
ピンクヴェノム。ともに前走は古馬相手の牝馬重賞
ヒダカソウCに出走し、それぞれ2着、3着と好走した。前者の強調点は、条件戦で連勝した1700mでのパフォーマンスである。前走時も書いたが、走破タイムは古馬オープンクラスに匹敵するもの。忙しい前走の内回り戦より戦力アップがあるはずだ。後者は、古馬一線級ス
プリンター相手に互角の走りをした
エトワール賞が秀逸である。距離は未知だが、ハイペースを追いかけるキツい競馬で踏ん張った前走から、一定のスタミナは読み取れる。
上記3頭含め、有力どころが先行・好位集団を形成する様相で、展開からは
サウスヴィルなど追い込み型が穴と言えるが、個人的には別の角度から
トネムスメに注目している。
フロイラインス
プリントは6着とはいえ、大敗した今季緒戦より段違いに良い内容である。体質の弱さが出世を妨げているが、初めて強い調教を課すことができた今回は、更に上積みが見込めそうだ。母は門別デビューで
東京プリンセス賞を制し、ダート
グレードでも活躍した名牝
リンダリンダ。前走を覚醒の兆しと捉えれば、リスク覚悟で先物買いする価値はあるのではないだろうか。
(文:競馬ブック・板垣祐介)