今週末のアイビスサマーダッシュは「真夏のスピード王決定戦」だが、どういうわけか秋のス
プリント王を決める
スプリンターズSとの結びつきは薄い。過去の勝ち馬のうち、16頭が同年の
スプリンターズSに出走しているが、勝ったのは1頭だけ。今回はその唯一の存在である
カルストンライトオの足跡を振り返りたい。
カルストンライトオは
父ウォーニング、
母オオシマルチア、母の
父クリスタルグリッターズの血統。2歳秋のデビューから逃げの
スタイルを貫き、4歳夏のアイビスサマーダッシュで重賞初制覇。従来のレコードを0秒2更新する53秒7の好時計Vだった。またこの時、200m~400m間を9.8秒という数値もマークしている
そして6歳夏に2回目のアイビスサマーダッシュ挑戦を迎える。単勝2.2倍の1番人気に支持され、5番枠からスタート。いつものように抜群のダッシュでハナを奪うと、一気に外ラチ沿いへ。残り400mから追い出されると後続との差を開き、3馬身差の圧勝を収めた。これは06年の
サチノスイーティーと並び、未だにレース史上最大着差となっている。
カルストンライトオはここから
スプリンターズSに直行した。春の
高松宮記念を制した
サニングデール、前年覇者の
デュランダルが顔を揃えた一戦。単勝は8.5倍の5番人気だったが、レースはワンサイドだった。雨が降り続き、あいにくの不良馬場となったが、
カルストンライトオには関係なかった。
いつものように難なくハナを奪うと、マイペースの逃げ。4角でスッと後続を引き離すと、残り200mでは勝負あった。後続に影すら踏ませず、悠々とゴールを駆け抜けた。2着の
デュランダルにつけた4馬身差は、
スプリンターズSがGIに昇格した90年以降に限ると91年の
ダイイチルビー、94年の
サクラバクシンオーと並び、またもレース史上最大だった。04年のアイビスサマーダッシュと
スプリンターズS、この2戦は
カルストンライトオの競走馬人生の
ハイライトと言える。
カルストンライトオは今年2月、老衰のために北海道の日西牧場で死んだ。残念ながら父を超えるような産駒は残せなかったが、一時代を築いた快足馬の雄姿に今一度、思いを馳せたい。