水曜付夏企画「夏は自由研Q」。第6弾は東京本社の鈴木悠貴(33)が担当、福島県天栄村のノーザン
ファーム天栄を取材した。主に同
ファーム生産の関東馬が調整やリフレッシュに利用。また海外遠征など移動に伴う体調管理などのケアを行う外厩施設。秋の大舞台を見据えて充電中のG1馬の“夏休み”をリポートする。
東京ドーム約10個分。ノーザン
ファーム天栄が誇る広大な敷地には、競走馬育成に特化した最新設備がある。高低差36メートルの坂路に、1周1200メートルの屋外周回コース。厩舎にはファンやミストなど暑熱対策器具が設置され、馬房は350以上。100人を優に超えるスタッフが付きっきりでサラブレッドの世話に従事している。
G1馬が秋のさらなる活躍に向け、この最先端の前線基地で“夏休み”を送っていた。昨年の
菊花賞馬
ドゥレッツァ(牡4=尾関)は、前走
天皇賞・春(15着)後に放牧に出されリフレッシュ。英G1インターナショナルS(21日、ヨーク競馬場)に向け、2日に無事出国した。木実谷雄太場長(44)は「日本だと夏場は暑いし、暑さがましな北海道での
札幌記念は馬場が悪くなることが多いので」と遠征の意図を説明。その上で「
菊花賞の後のようなダメージは残っていない。馬がいい頃の感じに近づいて来ている」。本場英国でのG1挑戦へ、万全の体調で送り出した。
昨年
エリザベス女王杯を制した
ブレイディヴェーグ(牝4=宮田)は
新潟記念(9月1日、新潟)に向け入念に調整。「しっぽの前の部分に腫れが出て乗り込めなかった期間が1カ月弱あったが今は大丈夫。肩周り、お尻にボリュームが出てきた」と順調に上向いている。
木実谷場長が「個性派ぞろい」と評す3歳牝馬も充実した夏を過ごしている。
京成杯AH(9月8日、中山)で復帰する昨年の阪神JF勝ち馬
アスコリピチェーノ(黒岩)は「全体的に馬体にボリュームが出た」と成長一途。
桜花賞馬
ステレンボッシュ(国枝)は直行で
秋華賞(10月13日、京都)に向かう予定だが「毛ヅヤが
ピカピカ。いつでもレースに使えるくらいですね。状態が良過ぎて困ってるくらい」と既に絶好調だ。
一方、同じく
秋華賞直行の
オークス馬
チェルヴィニア(木村)は「この馬は毛が短いといいんだけど、まだ長いところがありますからね」と本調子にはあと一歩。それでも「ここに来た当初よりだいぶ上向いてきた」と復調気配は漂っている。
ローズS(9月15日、中京)に向かう昨年
ホープフルS勝ち馬
レガレイラ(木村)は「精神的に大人になってきたし、順調に乗り込めている。期待してください」と木実谷場長も自信の仕上がりだ。
最新設備で猛暑を乗り切り、ひと回りたくましくなったスターホース軍団が、秋もターフを沸かせてくれるに違いない。
《
カーラデマドレを高評価》NF天栄ではG1馬だけでなく、今夏以降のデビューを目指す2歳馬も調整を続けている。木実谷場長が「これはいい」と高評価なのが
カーラデマドレ(牝=宮田、父
ドレフォン)だ。祖
母ディアデラノビア、
母ディアデラマドレはともに重賞3勝で、G1でも活躍した実力馬。「走りがキレイで、いかにも芝でこそのタイプ。まだまだ成長を促しながらの調整だけど、切れ味は相当です」と素質にほれ込んでいる。
スポニチ