早朝、車載気温計が14℃を表示していた。日中の日差しにはまだ夏の名残を感じられるものの、季節は確かにその歩みを進めている。今シーズンのホッカイドウ競馬も、残り2ヶ月を切った。ここから閉幕までは山を下るように時の流れが速くなる。
そろそろ各重賞戦線も勢力図が固まってくる頃なのだが、古馬短距離戦線のそれは混迷を極めたままでいる。この路線の重賞は、春から
エトワール賞、
グランシャリオ門別ス
プリント、ポラリスサ
マースプリントと順に行われたが、いずれも別の馬が勝利しており、各馬の着順の変動も小さくなかった。ここもメンバー構成は大きく変わっておらず、引き続き混戦ムードが漂っている。
ドウドウキリシマは重賞未勝利だが、昨年の道営ス
プリントで2着があるように、タイトルには十分手が届く存在だ。今シーズンは初戦の
エトワール賞こそ6着に敗れたものの、その後は着実に良化を辿り、ポラリスサ
マースプリントでは2着に好走した。ここへの叩き台だった前走では、重賞5勝の実績馬
スティールルージュを楽な手応えでかわし去ったように、今がまさに
ピークの状態と思える。今回が重賞初勝利のタイミングではなかろうか。
充実ぶりという意味では、
ジャスパーメジャーも同程度の評価が必要だ。今シーズンはここまで5戦4勝。唯一3着に負けたのが、約2年ぶりの重賞挑戦だったポラリスサ
マースプリントだが、改めて重賞級のポテンシャルがあることを示したとも言えよう。
阿部龍騎手との絆を感じるコンビネーションも魅力だ。
もちろん、実績No.1である
スティールペガサスの復権というのも、可能性としては十分あるわけだが、今回特に取捨に悩むのが、3歳馬の2頭だ。
ストリームは実際に門別ス
プリントで古馬を撃破しているように、能力は通用する。ただ、春先は鳴りを潜めていたズブさが再び顔を出しているここ2戦の内容がやや気掛かりだ。
オスカーブレインはここもハナを譲らないはずだが、問題はどこまで気持ちが続くのか。脆さも同居するタイプである。3歳勢の結果次第では、また勢力図が揺れ動くことになりそうだ。
(文:競馬ブック・板垣祐介)