先週行われた2歳牝馬のマイル重賞
フローラルカップは、
ゼロアワーが6馬身差で圧勝し、重賞連勝を決めた。この世代唯一の
ステッペンウルフ産駒として、血統背景から注目されていた馬だが、純粋に実力を評価すべき結果である。特長のひとつである気持ちの強さは、父から受け継いだものなのだろう。全国での活躍を楽しみにしたい。
今週のレースに話を移そう。北海道では既に一桁台まで朝晩の冷え込みが強くなり、門別開催終盤の実感も、日ごとに増しつつある。今週行われる
瑞穂賞は、大一番の
道営記念に向けた、最後の
ステップ重賞である。
普通なら、このレースの結果を受けて、改めて力関係を整理していくことになるはずなのだが、予備投票の段階で登録があった馬はわずか4頭。言わずもがな、その内の1頭である
ベルピットの存在が、いかに大きなものになっているかを物語る事象である。3頭の追加登録を経て、一時は7頭立てになったものの、唯一の対抗格であった
シルトプレが体調不良で残念ながら回避となり、いよいよ、
道営記念の前哨戦という趣はなくなってしまった。
現段階でもう既に、
ベルピットは揺るがぬ絶対王者となっているわけで、今回の状況で他の馬に本命を打つのはあまりに無謀だ。
道営記念には各陣営のトップホースが集結することを願って、このレースは
ベルピットが何事もなく勝つところを見届けたい。
肝になるのは、2着争いの行方をどう予想するかだろう。
ベルピットの動きに翻弄されて自身のパフォーマンスを落とさないよう、レースの中でこの馬と近からず遠からずの絶妙な距離感を保って走ることが、上位浮上のポイントになる。
今年の
旭岳賞で
ベルピットの2着だったように、
ドテライヤツは僚馬としてその心得があるように思う。また、相手のレース運びをうまく利用して、効率よく馬を走らせることに長けているのが
石川倭騎手。その点で
スコルピウスも押さえは必須だろう。この2頭が無難な相手候補だ。
馬券的に高配当は望みづらいが、どうやってプラス収支に持ち込むか、買い方が試されるレースである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)