秋のG1開幕戦「第58回
スプリンターズS」(29日、中山)の最終追いが25日、東西トレセンと中山競馬場で行われた。今春の
高松宮記念(3着)に続く2度目の来日となる香港馬
ビクターザウィナーは、初コンビで日本競馬を熟知するジョアン・モレイラ(41=ブラジル)を背に実戦と同じ中山芝コースで力強い走りを披露。今春
安田記念を
ロマンチックウォリアーで制したチャップシン・シャム師(64)も、再びの日本馬一蹴に意気上がる。
強力新パートナーとの息もピタリ。
ビクターザウィナーはモレイラを背に実戦同様、中山名物の
グランプリロード(パドックからコースに向かう経路)から芝コース入り。1200メートルのスタート地点まで流すと、残り800メートル付近でペースアップ。鞍上が手綱を抑えたまま直線の急坂を力強く駆け上がり、蹄音を響かせた。馬なりで4F54秒7〜1F11秒6。体もキリリと締まり、休み明けとは思えない軽やかさだ。初コンタクトの鞍上は「状態は凄く良くて、特に機嫌が良かった。自分から前に前に行くような感じ。気持ち良く乗れた」と笑顔を見せた。
年初1月のセンテナリース
プリントCでG1初制覇。続く3月
高松宮記念(3着)は初来日に加え、不慣れな左回り。道悪(重)も得意ではないが、逃げ粘って銅メダルを確保した。その後の2戦は苦杯を喫しているが、敗因ははっきりしている。4月
チェアマンズスプリントプライズ(7着)は序盤から競り込まれ、前走シャティンヴァーズ(6着)は酷量61キロ。シャム師も「この馬はフレッシュな方が走る。最後は疲れもあった」と振り返る。再来日にあたり、自国ではバリア
トライアル(模擬レース)を2度消化し万全を期した。指揮官は「モレイラが乗ってくれるのが一番だよ」と世界を席巻する新パートナーの強力援護を心底喜ぶ。
もちろん、鞍上も研究して心得ている。「これまでの競馬を見ていると、レースになるとモードが変わる印象。いつもベストを尽くし全力で走る。これまで(同馬に)乗った騎手は、みんな友達だから。特に勝った時の感触を含め話を聞いて最善の形で挑みたい」
優勝請負人は「もちろん強敵は日本の馬。ホームのアドバンテージがある」とした上で「ただ、僕の馬も戦える資格があっての参戦。勝つチャンスはある。しっかりと勝利に貢献したい」。今春の
桜花賞(
ステレンボッシュ)に次ぐ自身3度目の
JRA・G1制覇へ自信をのぞかせた。
《今回は
リラックスムード》モレイラは8月札幌の
ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)で優勝し、来年の短期免許取得の権利をつかんだ。「とてもうれしく思う。今回は札幌の時と違って、
リラックスして挑めるよ」とニコニコ顔。きょう26日が41歳の誕生日。「調べてくれてありがとう。私からすると1つ年を取った感覚だけど(笑い)。
ビクターザウィナーと一緒に勝利を勝ち取れれば、最高のプレゼントだ」と目を輝かせた。
スポニチ