日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(40)が担当。今週30日のチャレンジCで1年7カ月ぶりの復帰戦を迎える
ボルドグフーシュに注目する。
ドウデュースや
イクイノックスと同じ5歳世代。22年
菊花賞で鼻差2着、続く
有馬記念でも2着に力走した。
宮本博師(61、写真)に思い入れや、今後への期待を聞いた。
いよいよ戦列に復帰する。
ボルドグフーシュは30日のチャレンジCで昨年の
天皇賞・春(6着)以来、1年7カ月ぶりの出走となる。前走後に右前肢の腱周囲炎を発症。治療の経過を見極めながら慎重に立ち上げ、ここまでの時間を要した。宮本師は「いつか帰ってきてくれると思っていた。じっくり診ていただいたおかげ。あれだけの馬だし、まずは無事にいってほしいね」と笑みがこぼれた。
先週の
ジャパンCを制した
ドウデュースと同じ5歳世代。22年
有馬記念では同世代の
イクイノックスに迫る2着に奮闘した。当時、手綱を取った福永元騎手(現調教師)は「チャンピオンになれる馬」と伸びしろも含めて絶賛。
有馬記念の前走だった
菊花賞でも後方から猛然と追い上げ、
アスクビクターモアの鼻差2着に惜敗。あと一歩あれば…と思わせる内容だった。
指揮官は「もう一つ僕に運があったらなあ。叫んで応援したけど(ゴール後は)負けたと思った」と悔しそうに振り返る。新馬戦が6着だったように、デビュー当初は目立つ戦績ではなかったが、じわじわと素質が開花。ここから軌道に乗ることを期待している。
放牧先の社台
ファーム鈴鹿から栗東に戻ってきたのは先月13日。坂路とプールを併用して乗り込んできた。宮本師は「脚元のことがあるので、プールを利用しながら仕上げてきた。競馬が近づくと負荷のかけ方が変わって、しんどい思いもしているけど、耐えながらやってきている」と説明。先週21日に坂路で4F51秒3〜1F11秒8を刻み、その後の
ステップも踏めたことで態勢は整いつつある。
担当する河村助手は「体調がいいと、うるさいところを出すタイプ。まだおとなしいですけど、人が近づくとピリッとするようなこの馬らしさはありますね。エンジンはやっぱり違う馬ですよ」と目を細めた。
宮本師は節目のレースごとに京都市の御金神社を参拝することでも知られる。「今回も行ったよ。勝ったらお礼参りとかも行くので」。現在、
JRA通算397勝。
メモリアルへ、年内にあと3勝を意識する。そして「僕もあと(70歳の定年まで)10年を切っているからね。G1を何とか勝ちたいけど、まずはこの馬に重賞を勝たせてあげたい」と意気込んだ。看板馬の復帰戦で厩舎の士気は上がっている。
◇宮本 博(みやもと・ひろし)1963年(昭38)3月27日生まれ、滋賀県出身の61歳。伯父は宮本悳(いさお)元調教師。中尾謙太郎厩舎の調教助手として
キョウトシチー、
ナリタキングオーなどの重賞ウイナーに携わる。03年に調教師免許を取得し、翌年に開業。08年小倉2歳S(
デグラーティア)で
JRA重賞初制覇。
JRA通算5203戦397勝(うち重賞9勝)。
◇坂田 高浩(さかた・たかひろ)1984年(昭59)11月5日生まれ、三重県出身の40歳。07年入社で09年4月〜16年3月まで
中央競馬担当。その後6年半、写真映像部で経験を積み、22年10月から再び競馬担当に。
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