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宮本師が待ちに待ったボルドグフーシュ復帰戦

スポニチ
  • 2024年11月28日(木) 05時05分
 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(40)が担当。今週30日のチャレンジCで1年7カ月ぶりの復帰戦を迎えるボルドグフーシュに注目する。ドウデュースイクイノックスと同じ5歳世代。22年菊花賞で鼻差2着、続く有馬記念でも2着に力走した。宮本博師(61、写真)に思い入れや、今後への期待を聞いた。

 いよいよ戦列に復帰する。ボルドグフーシュは30日のチャレンジCで昨年の天皇賞・春(6着)以来、1年7カ月ぶりの出走となる。前走後に右前肢の腱周囲炎を発症。治療の経過を見極めながら慎重に立ち上げ、ここまでの時間を要した。宮本師は「いつか帰ってきてくれると思っていた。じっくり診ていただいたおかげ。あれだけの馬だし、まずは無事にいってほしいね」と笑みがこぼれた。

 先週のジャパンCを制したドウデュースと同じ5歳世代。22年有馬記念では同世代のイクイノックスに迫る2着に奮闘した。当時、手綱を取った福永元騎手(現調教師)は「チャンピオンになれる馬」と伸びしろも含めて絶賛。有馬記念の前走だった菊花賞でも後方から猛然と追い上げ、アスクビクターモアの鼻差2着に惜敗。あと一歩あれば…と思わせる内容だった。

 指揮官は「もう一つ僕に運があったらなあ。叫んで応援したけど(ゴール後は)負けたと思った」と悔しそうに振り返る。新馬戦が6着だったように、デビュー当初は目立つ戦績ではなかったが、じわじわと素質が開花。ここから軌道に乗ることを期待している。

 放牧先の社台ファーム鈴鹿から栗東に戻ってきたのは先月13日。坂路とプールを併用して乗り込んできた。宮本師は「脚元のことがあるので、プールを利用しながら仕上げてきた。競馬が近づくと負荷のかけ方が変わって、しんどい思いもしているけど、耐えながらやってきている」と説明。先週21日に坂路で4F51秒3〜1F11秒8を刻み、その後のステップも踏めたことで態勢は整いつつある。

 担当する河村助手は「体調がいいと、うるさいところを出すタイプ。まだおとなしいですけど、人が近づくとピリッとするようなこの馬らしさはありますね。エンジンはやっぱり違う馬ですよ」と目を細めた。

 宮本師は節目のレースごとに京都市の御金神社を参拝することでも知られる。「今回も行ったよ。勝ったらお礼参りとかも行くので」。現在、JRA通算397勝。メモリアルへ、年内にあと3勝を意識する。そして「僕もあと(70歳の定年まで)10年を切っているからね。G1を何とか勝ちたいけど、まずはこの馬に重賞を勝たせてあげたい」と意気込んだ。看板馬の復帰戦で厩舎の士気は上がっている。

 ◇宮本 博(みやもと・ひろし)1963年(昭38)3月27日生まれ、滋賀県出身の61歳。伯父は宮本悳(いさお)元調教師。中尾謙太郎厩舎の調教助手としてキョウトシチーナリタキングオーなどの重賞ウイナーに携わる。03年に調教師免許を取得し、翌年に開業。08年小倉2歳S(デグラーティア)でJRA重賞初制覇。JRA通算5203戦397勝(うち重賞9勝)。

 ◇坂田 高浩(さかた・たかひろ)1984年(昭59)11月5日生まれ、三重県出身の40歳。07年入社で09年4月〜16年3月まで中央競馬担当。その後6年半、写真映像部で経験を積み、22年10月から再び競馬担当に。 

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