冬のダート王決定戦「第25回
チャンピオンズカップ」(12月1日、中京)の最終追い切りが27日、東西トレセンで行われた。唯一の3歳馬
サンライズジパングが坂路で軽快な動きを披露。先週の
ジャパンCを制した
武豊(55)が、来春定年の
音無秀孝師(70)とのタッグで、自身18年ぶりとなる2週連続
JRA・G1制覇に挑む。同レースは28日に出走馬と枠順が決まる。
坂路を駆け上がった
サンライズジパングの背中には
武豊の姿があった。レジェンドに肩ムチで気合をつけられた3歳の若駒は、先行した
ラキエータ(5歳3勝クラス)と馬体を並べてゴール。4F51秒4はこの日、追い切った
チャンピオンズC出走予定の関西馬で最も速いタイムだ。鞍上は「この馬としてはまずまずいい動き」と納得の表情を浮かべた。
ドウデュースで制した
ジャパンCの余韻冷めやらず、水曜朝も関係者からは祝福の嵐。「ホッとした」とはにかんだ55歳は「すぐ大きなレースが来るので切り替えて」と表情を引き締める。日本総大将として世界の強豪と戦った前週から一転、過去5頭しか勝っていない3歳馬と臨む今週は挑戦者の立場。コンビ4戦3勝の好相性でも「この馬はまだまだ強くなっている段階」と慎重な姿勢は崩さないが、「ポテンシャルは高いので、今まで以上のパフォーマンスができればいいなと、僕自身も期待している」と一発を狙っている。
ジパングを管理する音無師は来春に定年引退が迫る。騎手と調教師としては96年6月の初タッグから30年近い付き合い。コンビで
JRA通算71勝、重賞も7勝を挙げているが、G1では03年
有馬記念(
リンカーン)の2着が最高。
武豊は「長年お世話になっている厩舎。一緒にG1を勝てたら凄くうれしい」と特別な思いも抱いて臨む一戦だ。
共同記者会見場に現れた音無師は「験を担いで」と19年に3歳馬Vを成し遂げた
クリソベリルのジャンパーで登場。「暑いから」とすぐに脱ぐ“音無節”で報道陣を笑わせつつ、「2走前の
ジャパンダートクラシックで脚をぶつけて腫れてしまい、(前走時は)1週間調教ができなかった。一頓挫があったので前走の
みやこSは自信がなかったが勝てた。今回はそれがない分、上積みは考えられる」と手応えを口にする。
ケンタッキーダービー&
BCクラシック3着で世界に名をとどろかせた
フォーエバーヤングなど
タレント豊富な3歳世代の代表として参戦するダートの頂上決戦。春には芝のクラシック2冠にも出走した二刀流の異端児
ジパングが、日本競馬の象徴であるレジェンドと共に、ジャイアントキリングに挑む。
《3歳馬有利な日程》今年は3歳馬にとって“お得な日程”で行われる。当レースは
カレンダーの都合で数年に一度、3歳馬と古馬の重量差が通常の1キロでなく2キロに拡大。
JRAのルールでは距離1600メートル超〜2200メートル未満における3歳馬と古馬の重量差は11月まで2キロ、12月から1キロになる。
チャンピオンズC当日は12月1日だが、開催初日の土曜が11月30日のため、ぎりぎり2キロ差が適用され、
クリソベリルが勝った19年以来の“当たり年”に。
武豊が「2キロのアドバンテージを生かしたい」と意気込めば、音無師も「G1馬が何頭もいるが、2キロ差なら」と期待した。日程が6度目の3歳馬Vを後押ししてくれる。
《18年ぶり2週連続G1制覇&当レース最多勝更新狙う》
武豊はこれまで5度の2週連続
JRA・G1制覇を達成。06年
天皇賞・春(
ディープインパクト)→
NHKマイルC(
ロジック)以来、自身18年ぶりの快挙に挑む。また、当レースは前身の
ジャパンカップダート時代に歴代最多の4勝(01年
クロフネ、04年
タイムパラドックス、05年
カネヒキリ、07年
ヴァーミリアン)。14年に
チャンピオンズCになってからは16年2着
アウォーディーが最高だが、久々のVで最多勝利記録を更新するか。
スポニチ