朝日に輝く栗毛の馬体がはずんだ。昨年覇者
レモンポップは角馬場、ダートで体をほぐしてWコースへ。直線に向くとしまいは軽く追われた。パワフルな四肢を躍動させる。単走でグングン伸びる。ラスト2Fは11秒9→11秒3と加速。6Fは82秒4にまとめた。前走
南部杯の最終追いは僚馬に遅れを取る格好だった。「70点くらいの出来」と辛口評価を下した田中博師だが「馬場も少し重かったですけど、動きに関しては力強く走れていたかなと思います」と合格点を与えた。
現役ラストのレース。馬に寄り添い、柔軟に調教メニューを選んだ。普段は併せ馬で追い切るが、最後の追い切りは単走。指揮官は「今年に入ってから気持ちの高ぶりも見られていたので。昨年の
チャンピオンズCの馬場入りくらいから少し前兆があったんですけど、調教でも少しネガティブなところというか、少し緊張感が見られたので考慮しました」と理由を説明。
リラックスした状態でラストランへ。陣営の思いが詰まったリハーサルだった。
昨年は
フェブラリーSと
チャンピオンズCのダブルG1制覇を達成。今年は
さきたま杯、
南部杯とJpn1を連勝した。厩舎開業6年目でG1タイトルをもたらした孝行息子。同師は「初重賞、初G1、とてもいい経験をさせてくれた子ですし、海外に初めて連れて行ってくれたのもこの子。厩舎の糧になって、基盤というか基礎をつくってくれた」と感謝してやまない。
さあ、ラスト1走。「昨年も同じ思いでしたけど、この馬にとっては距離というところも挑戦。メンバーももちろん強くなり、人気にはなると思いますけど、チャレンジという形ではあるかなと思います」と締めくくった田中博師。レース後の引退式でファンが待っている。国内の統一ダートG1は5戦5勝と負け知らず。誇りを持って、金色に輝く雄姿を見せる。
スポニチ