適性よりも番組的な問題で、2歳牝馬は1600m以下のレースを使われることが多い。しかし、
阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳牝・GI・芝1600m)では距離短縮組が好走していることが目立つ。その理由を探りたい。
阪神JFが外回りでの施行となった06年以降を振り返ってみよう。距離短縮組は27頭で【4-1-1-21】の勝率15%、複勝率22%。この数字では心もとないが、前走で1勝クラス以上、かつ連対している馬に限ると【4-1-1-8】の勝率29%、複勝率43%だから、十分に狙いが立つ。勝ち馬は06年の
ウオッカ、07年の
トールポピー、13年の
レッドリヴェール、16年の
ソウルスターリングだから、銘柄級がズラリ。ただ、一昨年には10番人気の
ドゥアイズが3着に健闘しているので、人気薄でも軽視は禁物だ。
では、なぜ距離短縮組が好走するのか。その最大の理由は、2歳牝馬にとって非常にタフな、直線に急坂が待ち受ける阪神芝1600m外回りという舞台設定だ。ならば、京都芝1600m外回りに舞台が替わる今年は、傾向も変わる!? いや、そんなことはない。京都芝1600m外回りは3角に坂があり、阪神芝1600m外回りと同様、スピードだけでは押し切れないコース。したがって前走で1400m以下を使われている馬が克服することは簡単ではない。一方、長めの距離の経験がある馬は、スタミナに余裕がある分、何とか走り切ることができるのだ。そしてもう一点、中距離で牡馬相手に戦ってきた馬は、経験値で一日の長があることも、短縮組優勢の根拠となるだろう。
今年の短縮組は
アルマヴェローチェ(牝2、栗東・
上村洋行厩舎)、
ジューンエオス(牝2、栗東・
武英智厩舎)、
テリオスララ(牝2、美浦・
田島俊明厩舎)、
ビップデイジー(牝2、栗東・
松下武士厩舎)の4頭。そのうち、前走が1勝クラス以上で連対しているのはアルマ、
テリオス、ビップの3頭。経験値を武器に延長組や同距離組を退け、上位独占となっても決して驚けない。